アクリフーズ農薬混入問題って何?/これまでの経緯
マルハニチロホールディングスの子会社アクリフーズの群馬工場で製造された冷凍食品に農薬が混入した問題が、昨年末から世間を賑わせています。現在、警察が捜査を進めているものの、依然としてその全貌は明らかになっていません。なぜ農薬が冷凍商品に混入したのか。その経緯を振り返ってみましょう。
農薬混入判明までの流れ
初めて臭気に関する苦情があったのは、2013年11月13日。群馬工場生産のミックスピザから石油・機械油のような臭いがするとの問い合わせが、アクリフーズのお客様相談室に寄せられました。同月15日~12月3日までの間に届いた問い合わせ件数は、ピザ6件、フライ類3件の合計9件。同社は12月4日に臭気成分の特定を目的に、外部検査機関に検査を依頼しました。 その結果、検出されたのは、酢酸エチル、エチルベンゼン、キシレンほか3物質。塗料や農薬などの溶媒に使用されていることが確認されました。そこで同社は、農薬付着の否定を目的に追加の残留農薬検査を実施、残留農薬ポジティブリスト制度の基準である0.01ppmを上回る「マラチオン」という農薬が検出されました。 さらに、その後の検査結果でも、ピザ1検体、フライ類2検体、コロッケ1検体からマラチオンを検出。言い逃れできない事実が明らかになったことで、同社は12月29日に記者会見を開き、商品回収を発表しました。回収対象商品は、ミックスピザやチキンナゲット、クリームコロッケなど、49商品640万パックに上ります。
どこで農薬が混入したのか
館林保健福祉事務所は12月30日、アクリフーズ群馬工場の立ち入り検査を実施しました。工場内で使用している薬剤リストにマラチオンは確認されず、商品汚染が均一でないこと、検出されたマラチオンが高濃度の汚染で原材料に由来するものではないことから、通常の製造工程上で汚染された可能性は低いと判断。メディアが1月10日に報じた警察の捜査状況によれば、複数の工場従業員の作業靴から、マラチオンを含むいくつかの薬品成分が検出されたそうです。 従業員は作業時、工場の入り口で専用の作業靴に履き替え、消毒液の中を歩いて消毒しながら製造ラインのある部屋へと入ることから、通常の製造工程でマラチオンが付着する可能性は低いとみられています。そのため、警察は何者かが意図的に工場内に持ち込んだとの見方を強め、より詳しい経緯や状況を調べていると報じられています。