アクリフーズ農薬混入問題って何?/これまでの経緯
「マラチオン」とはどんな農薬なのか
今回混入したマラチオン(別名:マラソン)は、有機リン系の殺虫剤、殺ダニ剤の一種。国内では農薬取締法に基づき、穀類や野菜、果実などに使用されています。マラチオンは、低毒性ながら高濃度に含まれる商品を一定量摂取すると、中毒症状が引き起こされる可能性もあります。 主な中毒症状は、吐き気やおう吐、下痢、腹痛など。たとえば、マラチオンが高濃度で検出されたコーンクリームコロッケの場合、体重20kgの子どもが8分の1個のコーンクリームコロッケを食べると、吐き気など健康に影響が出る恐れがあるレベルだと公表されています。
商品回収までに1か月以上のタイムラグ
マラチオンが混入した商品を口にしたことで体調不良を訴えた人は、全国で2572人(厚生労働省発表。1月13日時点)。なぜ、ここまで被害が拡大してしまったのでしょうか? そもそも、最初の苦情が寄せられてから商品回収に踏み切るまで、1カ月半を要しました。この対応の遅れが、被害を拡大させた一因です。公表の遅れについて、同社は「群馬工場の工事で使用したペンキの付着ではないかと疑った」と釈明しました。 しかし、大沢正明群馬県知事や森雅子消費者相は、ともにアクリフーズからの報告の遅れを批判しています。同社のサイトや新聞などで商品回収の呼びかけは現在も継続されており、商品の回収率は60.0%です(1月14日時点)。 今回の問題は、健康被害の拡大のみならず、地元経済に影を落とすと指摘する報道もあります。工場を保持する大泉町では、雇用がなくなる不安に加え、風評被害が広がり、地元食品への信頼を失うのではという危惧も……。農薬混入の原因が特定されていないため、工場の生産再開時期は不透明な状態が続いています。 (南澤悠佳/ノオト)