高校生が作った人工衛星「ISHIKI」がカイロスロケット2号機で宇宙へ
広尾学園高校(東京都港区)の生徒らが製作した人工衛星「ISHIKI(いしき)」が12月14日、カイロスロケット2号機で「スペースポート紀伊」(串本町)から打ち上げられる。(和歌山経済新聞) 【写真】カイロスロケット2号機で宇宙に打ち上げられる人工衛星「ISHIKI」 宇宙航空研究開発機構(JAXA)や三菱重工業()で、ロケット開発などを行ってきた高野宗之さんが社長を務める「LAGRAPO(ラグラポ)」(東京都中央区)が取り組む「LAGRAPO人工衛星プロジェクト」の第1弾。衛星製作から打ち上げまでを通じて工学や事業推進に関する知識を深め、宇宙開発や次世代育成を目的にする。昨年11月からプロジェクトがスタートし、広尾学園高校の生徒6人と3月で卒業した2人の8人が参加した。 「ISHIKI」はカイロスロケット2号機に搭載する衛星5基のうちの1基。名前は宇宙産業に「意識」を向けるきっかけになればと名付けた。大きさは34センチ×10センチ×10センチ。重量約4キロ。同衛星は発光ダイオードを使って地上との光通信実験を行うほか、宇宙空間で仕掛けが動くかを検証する展開構造物実験を行う。このほか関係者のメッセージを外装パネルやデータに搭載する。 同校3年でリーダーの矢尾海心さんは「1年間続けてきて、夏休みも毎日のように工場に通った。大変だったが楽しいこともたくさんあった。こんな小さな30センチほどの箱を作るために、さまざまな要求があり、試験が必要など、難しさを肌で感じた。自分たちの思いをたくさん載せた衛星が積まれ、打ち上げが楽しみ」と話す。 高野社長は「衛星を引き渡した生徒たちはやりきったいい顔をしていた。生徒たちの成長を感じる1年だった。初めは工場でも何をしていいか分からなかった生徒たちが、現場で学び、自分で考え、行動できるようになった。普通科の高校生に取り組んでもらうことで、宇宙開発が遠い世界のことではなく、誰でも思いと機会があれば参加できる現実だと知ってもらえたら」と話す。「日本の宇宙開発や理系教育のため、支援してくれるスポンサーのおかげでここまでこぎ着けることができた。これからも新しいビジネスを作り、宇宙開発と社会をつなげていきたい」とも。 打ち上げ時間は11時~11時20分。発射予備期間は12月15 日~ 27 日。
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