菊のイメージ脱却へ 「洋菊」の需要20倍に 葬式ではなく花束や装飾に使用…出荷依頼殺到のわけ
最近の花事情について、消費者の好みにも変化が生まれているようです。以前は花束などではあまり使われなかった「菊の花」が今、多種多様になり、活用の場が広がっています。 【写真を見る】菊のイメージ脱却へ 「洋菊」の需要20倍に 葬式ではなく花束や装飾に使用…出荷依頼殺到のわけ 菊の花は葬式の祭壇や仏壇に飾られ、日本では長年「仏花」として使用されてきました。ここ最近、そのイメージが変わってきています。 豊後大野市で菊の栽培を手掛ける「お花屋さんぶんご清川」は、日本最大規模の菊農家で長年、葬式用の一輪菊を関東向けに出荷していました。コロナ禍を挟んだ葬式の多様化で一輪菊の需要が伸び悩む中、ここ数年、スプレー菊と呼ばれる品種の人気が高まっています。 (鈴木恵さん)「スプレー菊は花束やアレンジメント、ホテルの装飾にも使われています。菊の花の生産は非常に厳しい状況が続いているが、うちで作っているスプレー菊は人気があって出荷してほしいという依頼がくる」 一本の枝に複数の花をつけるスプレー菊は、欧米で品種改良された洋菊の一種です。「お花屋さん豊後清川」では、5年程前には年間3万5000本だったスプレー菊の出荷量が今では70万本になり、需要が右肩上がりで伸びています。生産しているスプレー菊の色は様々で、一見、菊には見えないものもあります。 (鈴木恵さん)「はやりのくすみカラーのスプレー菊は、うちでしかこの発色がなくて、関東方面では人気があります」 スプレー菊の需要の拡大により、今後、ハウスを増設し生産量を増やす計画です。 大分市のフラワーショップ「ピースガーデン」。地元産や九州産にこだわって季節の花を仕入れています。ここでも、菊の花が春の花々と並んで店内を彩っています。 この店で取り扱っているピンポン菊は丸い形がピンポン玉に似ていることから名づけられました。花弁が大きく、ゴージャスで華やかなデコラ咲きと呼ばれる特殊菊。それに、スプレー菊を扱っています。すべて県内で生産されたもので、年々色や形が豊富になってきているといいます。