ミヤマガラス「ふん害」、警戒時の声鳴らして防げ 熊本市、2種類の音声装置で対策も…根絶「難しく」
熊本市に今年もミヤマガラスの群れがやって来た。市は市内で深刻になっている「ふん害」を減らそうと、対策に取り組んでいる。固定式と移動式の2種類の音声装置を使い、カラスが警戒する時に発する声を鳴らして追い払う作戦だ。ただ、被害の根絶には至っていない。 市によるとミヤマガラスは、年中いるハシブトガラスなどと違い、越冬のために中国大陸から飛来する。市中心部では2018年ごろから樹上などにねぐらを作るケースが増え始め、ふん害が発生している。今年も10月下旬ごろから飛来。中央区の花畑公園周辺や西区の田崎市場北側を中心に被害が確認されている。 今シーズンの対策期間は12月2日にスタートした。来年2月下旬までの予定で、中心市街地の6カ所と田崎市場北側の4カ所に固定式装置を設置。移動式は中心市街地を巡回して追い払う。 市は佐賀大の協力を得て19年度に対策の前段となる調査を開始。20年度には、実際に追い払う方法の実験を始めた。その結果、固定式と移動式の2種類の装置を使って鳴き声を流すことが有効だと分かった。移動式は広い範囲をカバーできるが、装置を操作する人の姿にカラスが慣れて逃げなくなるためだ。
市は22年度からこの方法を採用。カラスが慣れないように音声パターンも変え、22、23年度とも飛来したカラスの半数を追い払うことに成功したという。今シーズンはさらに、固定式装置をねぐらに近づけるなどして効果アップを狙う。 ただ、ふん害の根絶までは期待できないという。「カラスは賢く、ねぐらの場所を変えるなど思惑通りにいかないところもある。全て追い払うのは難しい」と市鳥獣対策室。 市は今シーズン、昨季と同じ約8千羽の飛来を想定している。(臼杵大介)