「田んぼが心配や」弥生人の足跡発見 ── 高槻市・安満遺跡
「田んぼが心配や」と駆け付けた村人
日々の努力が水泡と化す事態も発生した。川の氾濫による洪水だ。堤防も築けない時代、洪水が起きると、なすすべがない。厚さ数十センチの砂れきに覆われた水田は、やむなく放棄された。放棄された水田跡から、多数の足跡が発見された。洪水で水没した田んぼの様子を、村人が心配になって見にきたのではないかと推定される。 放棄した水田は墓地に転用された。調査員は「村の住民は50人から100人程度だろうか。弥生人たちは厳しい環境の変化に対応しながら、村の暮らしを守ろうとしていた」と、弥生人の粘り強い変化対応力を強調していた。 自然災害と向き合いながらも、700年間も村を守り抜いた弥生人。水田跡に残った足跡からは、指先にぐっと力を入れて前のめりに踏みしめた気配がうかがえる。弥生人パワーのたくましさが伝わってくるようだ。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)