「直接当てて倒す」フルコンタクト空手は、インカレ開催でジュニア世代の継続率アップを目指す
フルコンタクト空手(以下フルコンタクト)が着実に前進している。大学生のインターカレッジ大会(同インカレ)がスタートし、ジュニア大会には文部科学大臣杯が設けられた。競技者に明確な目標ができてキャリアを誇れるものになりつつある。 11月26日、東京・代々木第一体育館で「第2回全日本学生フルコンタクト空手道選手権大会(同インカレ)」および「第17回JKJO全日本ジュニア空手道選手権大会(同ジュニア大会)」が開催された。昨年から今形式で始まった大会には選手関係者や観客など7,088人が会場に集まった。
~インカレは大学生の目標でジュニアにとって憧れの舞台
「昨年からインカレを立ち上げジュニアと一緒に行う形式にしました。インカレができたことで『大学生の中でトップになる』という明確な目標ができました」 全日本フルコンタクト空手コミッション(=JKC)代表・酒井寿和氏はフルコンタクトの現状について話してくれた。 「競技人口の多くがジュニア年代。水泳などの習い事と同感覚でやる人が多くて女子も多い。しかし中学、高校、大学と進むに連れ減少する原因の1つに、大学生が活躍する舞台がなかったことが考えられます。従来は大学生も社会人大会に出場するしか試合の場所がなかったですから」 「ジュニア年代にはインカレを間近に見て『ああなりたい』と思って欲しい。だからインカレとジュニアの大会を同一会場で開催することにしました。現在は社会人(JKJO全日本フルコンタクト空手道選手権大会)を大阪、インカレとジュニアを東京で開催しています。関東、関西で行うことで多くの人に見てもらいたかったからです」 ジュニア大会は今年で17回目ということからも競技者の多さが理解できる。今後はインカレ、社会人での競技者も増えることを目指している。
~大学の看板を背負って戦える素晴らしさ
「フルコンタクト競技を大学までやっていることには大きな価値がある。インカレで大学の看板を背負えることで他競技同様、世間的にも認められると思います」 JKCキャリアアドバイザー・吉浦剛史氏はキャリアの部分からも同大会の存在意義は大きいと語る。 「大学まで何かの競技をプレーした選手、そして主務(マネージャー)でチームを支えた学生の評価は高くなる。しかしフルコンタクトをする大学生にはインカレがなかったので他競技との偏りがありました。こういう現実をわかっている他競技学生がインカレができたことを応援してくれる。野球やサッカーの関係者が代々木体育館に足を運んでくれるのが嬉しい」 昨年のインカレ第1回大会には青山学院大駅伝部・原普監督から、「フルコンタクト空手、がんばれ!」と直々のメッセージが届いたほどだった。