「処理水」で緊張高まる中国…大使館は邦人に「日本語控えて」 塩の買い占め・“汚染水”拡散マップも 影響は日本全国に
日テレNEWS
福島第一原発の処理水の海洋放出を受け、中国では塩の買い占めが起き、根拠不明の動画が流れるなど混乱が生じています。日本大使館は現地の邦人に注意喚起のメールを出しました。また大分県のハマチが出荷停止となるなど、影響は日本全国に広がっています。
■中国で暮らす日本人へ「注意喚起」
中国に住む在留邦人の元に25日、日本大使館から注意喚起のメールが届きました。 中国・北京支局の記者も受け取りました。そこには「外出する際には、不必要に日本語を大きな声で話さないなど、慎重な言動を心がける」と書いてありました。「不必要に日本語を話すのは控えよ」という内容です。
■塩を求めて…長蛇の列、買い占めも
中国では、塩を求めて山東省の店の前に長蛇の列ができたり、北京のスーパーマーケットで塩の陳列棚にほとんど商品がなかったりといった事態が起きています。スーパーの店員に聞くと、「塩はもうない!」「最近みんな塩を買い占めてる」と話しました。 今、中国では4トンが1時間で売り切れる店もあるほど、塩の買い占めが起きているといいます。
■“汚染水”と呼ぶ中国…根拠不明の動画
さらに、ネット上では根拠の分からない動画が上がっています。「北京青年報SNS」には太平洋を写した地図があり、福島第一原発付近から波のように赤や黄色が広がります。 これは“汚染水”の広がりを表しているといい、約240日後に中国沿岸に到達すると伝えています。この根拠は何なのか。動画の作成者側に質問を送りましたが、現時点で返事はありません。 中国で起きている混乱の理由は、24日に福島第一原発で始まった、海水で薄めた処理水の海への放出です。
■放出後初の競り 「冷静に受け止め」
福島県内の市場では処理水放出後、初めての競りが行われました。 福島・いわき市の沼ノ内漁港では「(競りの値段は)高いよ」という声も聞かれ、取引価格に大きな変化は見られませんでした。仲買人は「冷静に受け止めているからさ、『ああ良かったな』という気持ちもない」と胸の内を語りました。 「常磐もの」と呼ばれる福島の魚を扱う、東京・目黒区の鮮魚セレクトショップ「サカナバッカ中目黒」を訪ねました。並んでいたのは、福島県産の大きなヒラメです。 同店を運営する「フーディソン」の地方創生プロジェクト担当、山本久美恵さんは「我々のできる範囲で、検査済みであることをきちんとお伝えするなど、正しい知識をできる限りお伝えしていくという方針です」と話します。 来店した客は「基準をクリアしているという話だし、それを信じれば大丈夫だと思う」と話しました。 小池都知事も25日、都庁で福島県産のスズキや宮城県産のカツオ、ヒラメの刺し身などに舌鼓を打ちました。小池知事は「グッドです。フレッシュです」と笑顔を見せました。