山田洋次 92歳 歌舞伎座で初演出 下町の長屋暮らしから学ぶ現代に必要な賢い生活
■中村獅童×寺島しのぶ 2人だからこそ生まれる魅力
――夫婦を演じる獅童さんと寺島さんの魅力はどういったところにあると思いますか? 2人はお互いに気心の知れた幼なじみでしょう。それがやっぱり芝居していても、そういう“匂い”を感じますね。だからお互いに信頼し合っているし、同時に遠慮なく相手を批判できるし。お互いの悪口を言いながら、芝居を練っていく様子を見ていても楽しいんですよ。 ――寺島さんも、今回が初の歌舞伎座出演ということですが、どのような俳優だと思われていますか? もともと僕は映画の演技についてしか、もちろん知らないけども、非常に切れ味のいい芝居をする人ですね。それから声がいいですね。ソプラノでよく通るきれいな声。かわいらしくて魅力的なお兼(寺島さんが演じる左官職人の妻)になるんじゃないですか。
■俳優たちに求めるもの やりたい演出は「いろいろある」
――監督は、今まで映画を多く手がけられてきましたが、歌舞伎と映画の演出に違いはありましたか? そんなに違わないと僕思っていますね。それは作る過程でも感じること。“ああ、もう結局同じなんだな”と。やっぱり人間をどう表現するか、表現の仕方っていうものについてどういう技術が必要かっていうこと。それは映画でも芝居でもそんなに変わらないと思うな。だから俳優さんたちみんな、“人間”というものをちゃんと表現するんだというイメージを浮かべてもらわなきゃ困る。型どおり、今までのパターンでやられては困る。そんなことでいろいろ苦労はしていますけどね。 ――今後、どういったジャンルの演出に挑戦していきたいですか? そりゃ“こんな映画を作りたい”とか“こんな芝居をやってみたい”といろいろありますよ。だけど、全く新たなジャンルなんて今はあんまり考えてないけどね。