「正直、ヤバかった」...102年ぶりの夏の甲子園へ、栃木の伝統公立校が令和で目指す野球 「手を抜くことなく、一生懸命にやること」
満足せず、諦めず、謙虚な姿勢を持つ「人間性も強い」チームを作る!
日々の積み重ねが、グラウンドにどれだけつながるか。継続力の重要性は、選手たちに着実に行き届いているようだ。ただ、山口監督が強く伝えるのは、自身の経験もあるからだという。 「そうした精神的な部分については、上武大の谷口(英規)監督が一番です。 当時は監督になられたばかりだったんですけど、『俺に何をして欲しんだ』って選手たちに問いかけてもらったんです。もちろん全国に出たかったので、『神宮に行きたいです』って答えました。その後、必要なことを教えてもらって、厳しかったんですけど、本当に出場しました。ただ、一番は最初のミーティングで、『謙虚さを忘れること、満足すること。これは人の成長を止める。だから絶対にダメだ』って言われたのは今でも忘れていません」 だから、山口監督は技術だけではなく、選手たちの心が公立校としてトーナメントを勝ち上がっていくことのポイントだと考えている。
すると山口監督は、こんな話を引き合いに、違う視点から精神力の重要性を説く。 「宇都宮商のOBで、日本大国際関係学部で総監督兼監督をされている和泉(貴樹)監督のところへ、毎年行って勉強にさせてもらっているんです。細やかな、隙のない野球は勉強になるんですけど、『自分のゴールはこの辺だろうって、決めつけちゃいけない。絶対にあきらめちゃいけない』という話をしてもらったんです。その話は選手たちにも伝えており、大事にしているんです」 実際、あらゆる大会を見ていると、「公立が私学と試合をする際は、戦う前から気持ちが折れているように見えています」と山口監督は感じているという。そういったこともあって、気持ちでひるまないことの重要性を感じている。 末永主将に話を聞いても「自分たちを、より高いレベルに引き上げてくれる。良きライバルだ」と思っている。敵わない相手と認識せず、対等に戦える相手と見ている。 が、秋は国学院栃木に敗れたように、私学との力の差はある。この距離を詰めるのに、「フィジカル強化などの基礎を積み重ねるのが大事だと思う」と末永主将は分析。だから、「春夏に向けてフィジカルを上げたい」と話すが、一方で山口監督の指導を体現したいとも思っている。 「人間性も強いチームを作りたいと思っています。やっぱり強いチームは技術だけではなく、人間性も素晴らしい選手が沢山います。だから人間性も見直して、最後は夏の甲子園に出場できるように、主将である自分が声で引っ張り、背中で姿勢を示したいと思います」 春の関東大会で、「帝京を見た時、『もうこれだ』って思ったんですよね」と山口監督も感じたということで、指導者・選手が一致団結して冬場を過ごそうとしている。102年ぶりの夏の甲子園へ、心身共に充実させる冬場を過ごす。