日本IBMと労組が「賃金査定」における「AI」の利用について和解成立 評価項目の開示は“世界初”
「AIは決して公正でも透明でもない」
合意内容により、開示された評価項目を労組が第三者に公開することはできない。しかし、非組合員を含む社員への公開は認められた。会社の内部ネットワークで公開する予定という。 編集部の取材に対し、日本IBMは「和解が成立したことは事実です。今後も良好な労使関係の構築に努めてまいります」とコメント。 JMITU・IBM支部の大岡義久中央執行委員長は「AIは決して公正でも透明でもない。評価基準を明らかにして、査定の内容を検証することが不可欠だ」と語った。 新入社員などの採用の場面ではAIは広く使われるようになったが、人事・給与査定にはまだAIは浸透していない。また、査定にAIが利用されているかどうかということ自体が「ブラックボックス」になっている面もある。 したがって、法律も未整備の状況となっている。 穂積匡史弁護士は、AIが使い方によっては差別の再生産を引き起こす可能性などの問題を指摘しながら、今回の和解の意義を語った。 「法律が整備されるのをただ待つのではなく、労働組合が先頭に立って交渉したことで、AIの使われ方について労働者も決定に関与できるようになった」(穂積弁護士)
弁護士JP編集部