女子卓球“黄金世代”加藤美優はなぜ24歳で突然、休養を選んだ?…世界卓球ベスト8の元《天才卓球少女》が「今まで卓球に追われすぎて」の真意
今年2月に行われた卓球の世界選手権。絶対王者・中国をギリギリまで追い詰め、日本でも大きな話題となった女子団体チーム。早田ひな、平野美宇らの主力選手は、いずれも2000年前後生まれの「卓球最強世代」の選手たちだ。 【写真で比較】「えっ、まるで別人…?」小学生で全日本選手権「4勝」“天才卓球少女”時代の加藤美優と、ド派手な金髪を披露した昨年の活躍&インタビューカットも見る 実は世界選手権から遡ること1カ月――そんな黄金世代の選手のひとりである加藤美優は、全日本選手権の欠場と長期休養という決断を下していた。これまで世界の舞台で活躍してきた名選手に一体何が起きていたのか。本人にその真意を聞いた。《NumberWebインタビュー全2回の1回目/後編を読む》 今年1月に行われた卓球の全日本選手権は、パリ五輪代表の最終選考対象大会ということから大きな注目を集めた。 その開幕直前、あるニュースが卓球界に流れた。出場のための推薦枠を持っていた加藤美優が、それを辞退したという一報だった。 世界選手権をはじめ国内外の数々の大会で活躍してきた加藤は、国内では最高峰の大会をなぜ辞退したのだろうか。 「今まで卓球にちょっと追われすぎて、これからどうしたいのか、どうしていくのかを考える時間もなく何年も過ぎている状況だったので。一度、今後を考えるために休養を選びました」 東京都内の卓球クラブに姿を現した加藤は、そう言った。 卓球に追われすぎて――加藤はその言葉の真意を説明する。 「振り返れば、1カ月半くらいずっと日本に帰らないで、何カ国も行ったこともありました。ヨーロッパに行って、帰ってきた次の日にTリーグの試合があるなんてこともあって……」
「シーズンオフ」が存在しない…卓球の特殊性
卓球の上位選手は基本的に年中、海外遠征を繰りかえす。加えて、国内でもTリーグなどの試合がある。オフシーズンは存在せず、満足に休養がとれない状態が日常なのだ。 パリ五輪こそ方式がかわったものの、それ以前は世界ランキングで日本代表が決まっていた。世界ランキングは主に海外の大会で結果を出すことでポイントが加算されるため、長期で休めば当然、順位は下がっていく。だから、代表を目指すレベルの選手であれば、ほとんど休むことがかなわない。 「(海外遠征の際は)長時間、飛行機で足が動かせないので、到着後にすぐ試合だと体もキツいです。いい成績を出しているときは『もっと、もっと』となりますけど、ちょっとつまずくと調整が難しかったりして、心配になることもありました。ただ『忙しいな』とは思いつつも『これが普通なのかな』と思ってずっとやっていましたね」 加藤が卓球を始めたのは、6歳の時だ。 「家族で温泉卓球をやって、そのときに楽しくて始めた感じです」 両親には「勉強か卓球か、どちらかは真剣にやりなさい」と言われた。 「じゃあ、勉強よりは卓球がいいなと思って」 そう加藤は振り返る。 「始めたときは1日7時間とか普通にやってましたね。あとは学校終わりに3~4時間くらいです。練習が苦しかったか? もちろん苦しいこともありましたけど、基本、小さい子って親の言うことは聞くものじゃないですか。だから、自然にできていましたね」 そんな生活を続けるうち、加藤は徐々に頭角を現していった。 「練習量も多かったと思いますし、毎週毎週いろいろなオープン戦とかをまわると、その都度ライバルが現れるので。その選手に『勝ちたい』『勝つためにはここが足りない』とやっていたら……気づいたら強くなっていたというか」
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