役所広司、内野聖陽が意気投合「メークで朝から2時間くらい隣に座ってしゃべっていました」<映画「八犬伝」>
映画「八犬伝」(公開中)の公開記念舞台あいさつが10月27日に行われ、役所広司、内野聖陽、渡邊圭祐、鈴木仁、板垣李光人、水上恒司、栗山千明、曽利文彦監督が登壇。トークショーを繰り広げた。 【写真】舞台あいさつで並んで立つ役所広司、内野聖陽 ■【虚】と【実】、2つが交錯する構成 奇想天外な物語で、日本のファンタジー小説の原点と称えられる「南総里見八犬伝」。1842年に完結してから200年近く経つが、今でもマンガ、アニメ、映画、舞台、歌舞伎と多彩なジャンルで二次創作が行われるなど、現代のエンターテインメントに多大な影響を与え続けている。 その小説をVFXを駆使して実写映画化。里見家の呪いを解くため、八つの珠に引き寄せられた八人の剣士たちの運命をアクションとVFXで描いた「八犬伝」=【虚】の世界と、物語を生み出した馬琴の感動の実話【実】の2つのパートが交錯する山田風太郎の小説「八犬伝 上・下」を映画化したエンターテインメント大作に仕上がっている。 【虚】パートでは、滝沢馬琴役に役所、葛飾北斎役に内野、馬琴の息子・宗伯(鎮五郎)役に磯村勇斗、宗伯の妻・お路役に黒木華、馬琴の妻・お百役に寺島しのぶが扮(ふん)する。さらに、立川談春、中村獅童、尾上右近といった落語、歌舞伎界の顔が重要なキーパーソンで登場している。 【虚】パートでは、八犬伝の全ての始まりとなる伏姫役に土屋太鳳、里見家に呪いをかける闇を司る玉梓役に栗山、八人の剣士役に渡邊、鈴木、板垣、水上、松岡広大、佳久創、藤岡真威人、上杉柊平、さらに、重要な役柄で河合優実が出演。監督は「ピンポン」(2002年)や「鋼の錬金術師」シリーズ(2017年ほか)の曽利文彦が務める。 ■意気投合した様子を見せる役所広司と内野聖陽 この日の舞台あいさつは、全国336の映画館でライブビューイングと合わせて実施。主人公・滝沢馬琴を演じた役所は「今日は『八犬伝』を選んでいただき、ありがとうございます」とあいさつ。 10月25日の公開初日、及び2日目共に興行収入No.1の本作。役所は「公開が始まってNo.1の映画には出たことがないので感動しています」としみじみし、「これが三日天下にならないよう、皆さんのお力をお借りしないと、さらなるヒットにならないと思いますのでご協力ください」と特大ヒットを祈念する。 曽利監督も、No.1という大ヒットに「身の引き締まる思いです! 若い観客の方にも集まっていただいてうれしい限り」と感激。 葛飾北斎を演じた内野は、役所との共演に「役所さんとは同じ申年で12年違うので大先輩。ところが北斎は馬琴よりも年上の設定。役所さんは大先輩ですから、ついつい敬語が出たり、腰が低くなりがちなところを、なるべくそうならないように頑張った。でも、役所さんがフランクに接してくださったので、自由に北斎像を造形できたと思う」と感謝し、役所は「こちらこそ。内野さんのおかげで楽しいお仕事ができました」と返す。 また、役所が「僕ら老人2人で、若い八犬士の美しさを引き立てようと頑張った」とニヤリと振り返ると、内野も「役所さんとは老人の特殊メークを施すために、朝から2時間くらい隣に座って、ああだこうだとしゃべっていましたね」と、すっかり意気投合している様子だった。 ■役所広司、内野聖陽が美しさを引き立てた“八犬士”トークを展開 美しき八犬士を演じた渡邊、鈴木、板垣、水上。渡邊が「本当に役所さんと内野さんのお2人に美しく引き立てていただいて…」と冗談めかすと、内野は「そう、すべては圭ちゃんのために!」と大笑い。 渡邊は「事前に曽利監督から『八犬伝』に対する熱い思いを伝えていただき、『八犬伝』が幅広く愛されている理由を知れた気がして、演じていて楽しかった。監督をはじめ、皆さんのいろいろな思いがこもった作品に携われて光栄でした」とうれしそうに話す。 鈴木は、親交のある渡邊との共演に「圭祐君には普段からお世話になっているのでやりやすかった。準備段階からフラットに役に入れました」と手応えを口に。 舞のシーンのある板垣は「美しさが大事な部分だったので、役所さんと内野さんに助けていただいて」とユーモアを交えて感謝すると、内野は「めちゃくちゃ美しいよね!」と太鼓判。さらに、板垣は自宅での神楽鈴の練習について「隣りの人に、変な儀式をしていると思われていないか心配だった。鈴の音って結構響くので」と明かして笑いを誘う。 「八犬士は美しい」トークの流れで、水上は「水上恒司になって初めての作品が『八犬伝』でした」と思い入れの強さを明かし、「実は、八犬士の8分の3は汚い枠。その汚い枠の1つを僕が担っているという自負がある」と言い、「僕らのおかげで、残りの八犬士が輝いているということも伝えておきたいです」と熱弁。 すると、渡邊から「水上さんは八犬士に対する熱い思いがあり過ぎて、おでこに…」との指摘が。確かに水上の額にはアザのようなものがあり、別作品のアクションでできたものだそうだが、これに水上は「八犬士にはアザがありますが、僕も『八犬伝』撮影の2年越しに浮かび上がってきた。公開2日目に出てくるとは…おめでたいと思ってください」と八犬士仕様だとアピールする。 そして、美しきヴィラン・玉梓を演じた栗山は「八犬士たちが格好良いアクションを披露する中で、玉梓として強そうに見えなければいけない。ラスボスとして負けないような迫力を、特殊メークの力を借りて格好良くしていただいた」と役作りを振り返った。 [/EXCLUDE] ■内野聖陽「馬琴さんのファン1号のような気分で演じていました」 あらためて役所は、演じた馬琴について「わがままな人だったはず。これだけの大作を書き上げることができたのは、葛飾北斎と家族の支えがあってのもの」と分析。 内野は、葛飾北斎の演じ方について「北斎とはどんな人物だったのか、伝記を読んだり、資料館に行ったりしました。演じる上では自由人の極致を見せながら、風通しのいい人間にすることばかりを考えました。そして、馬琴さんの最初のファン1号のような気分で演じていました」と話す。 最後に、役所は「監督の元に集まった素晴らしいキャストとスタッフで一生懸命に作った作品です。たくさんの人に見てもらいたいし、ご家族で見られる映画です。何度見ても新しい発見のある映画だと思うので、『八犬伝』をこれからもよろしくお願いいたします!」と呼び掛けた。 イベントの後半には、本作の宣伝アンバサダーで、SNSでも人気のマスコット“八房くん”の超巨大熊手も登場。さらなる大ヒットを祈願し、登壇者全員で「八犬伝」にならい“八回の一本締め”が行われ、舞台あいさつを締めくくった。 [EXCLUDE] ■映画「八犬伝」あらすじ 江戸時代の人気作家・滝沢馬琴は、友人の絵師・葛飾北斎に、構想中の物語「八犬伝」を語り始める。 「八犬伝」とは、里見家にかけられた呪いを解くため、八つの珠を持つ八人の剣士が、運命に導かれるよう集結し、壮絶な戦いに挑むという壮大にして奇怪な物語だ。 北斎も魅了した物語は人気を集め、異例の長期連載へと突入していくが、クライマックスに差しかかった時、馬琴は失明してしまう。完成が絶望的な中、義理の娘から「手伝わせてほしい」と申し出を受ける。