Netflix「ゲイの恋愛リアリティショーがないことに“違和感”」日本初の試みで、脱ステレオタイプ目指す
ステレオタイプを封印、ゲイは多様だと知ってほしい
参加メンバーのキャスティングは、SNSを通じての募集や友人の紹介はもちろん、DMを送ってアプローチしたり、東京・新宿2丁目のクラブや飲食店で声を掛けたりと、アグレッシブに行ったそうだ。 「まず何人にするかというところから議論になりました。ゲイといっても、いろいろなタイプの人がいます。ある程度人数がいなければ、それを見せられないのではないかということで、8~9人を目指してキャスティングしていきました」(Taikiさん) 制作陣がこだわったのは、これまでメディアが描いてきたゲイに対するステレオタイプを拡大再生産しないことだ。Taikiさん自身も、メディアが表象するゲイと自らのギャップに悩んだ過去がある。 「『ゲイって女性の気持ちも分かるんでしょう』と言われがちですが、みんながみんなそうじゃないんです。みなさん誤解です。笑 若い頃にテレビで観るゲイの人たちはすごくはしゃいで見えて、自分もあんな風にならないといけないのかなと思っていましたし、いわゆる“オネエ”キャラを演じているほうが、実際に友達も増えました。 『みんなが期待しているオネエタイプのゲイの人にならなきゃ』という意識があったんですけど、でもそれって自分の場合は疲れちゃうことがあって……。 今回は、今までテレビなどで表現されてきたステレオタイプ部分はちょっと封印させていただいて、とてもナチュラルなありのままの自分たち(我々)を見てほしかった。 ゲイにもいろんな人がいて、人によって違うということを視聴者の皆さんに知ってもらいたいという気持ちが強かったんです」(Taikiさん)
同性婚ができたら、もっと幸せになれる
だからこそ、タイプの異なる9人の参加者それぞれが「ありのまま」の自分でいられる空間づくりを徹底した。 派手な演出は一切ない。参加メンバーは、Taikiさんが「静かすぎて、現場のスタッフも最初は不安になってしまったくらいで」と笑うほど自然体だ。 そんなセーフスペースとなった共同生活では、多くの恋愛に共通する喜びやヒリヒリした痛みだけではない、同性愛者だからこそ向き合うことを強いられる壁も映し出される。 カミングアウトすることへの不安、同性婚が認められていない日本で男性同士で恋愛することの意味、同性カップルが養子を迎えて家庭を築くことなど、互いの葛藤を打ち明け合い、ときに涙するシーンも。 Taikiさんも同性婚については「法整備が整っていないことで、得られない権利がある」と話す。 「ゲイの男性同士でも家を借りるのが難しかったりする上に、自分の場合はパートナーが韓国人なので、さらにハードルが高いんです。 同性婚ができて配偶者ビザがおりればいいのですが、それが難しいので、自分の会社で彼を雇用してビザを出すことで、なんとか一緒に暮らせています。 今はどこかみんな我慢したり諦めたりしている。同性婚の法整備があるだけで、もっともっと得られる幸せがあると思います」(Taikiさん)