【ひふみんEYE】藤井聡太棋聖、斬新攻めに加え間違えない防御 叡王戦連敗時より調子上昇
<ひふみんEYE> 藤井聡太棋聖(竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将・=21)が山崎隆之八段(43)の挑戦を初めて受ける、将棋のヒューリック杯第95期棋聖戦5番勝負第1局が6日、千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」で行われた。 【写真】藤井聡太棋聖の午前のおやつは「黒胡麻のブランマンジェ」 午前9時から始まった対局は、相掛かりから先に踏み込んだ後手の藤井が午後6時38分、90手で勝利。棋聖戦5連覇と初の永世称号となる「永世棋聖」獲得に向け、好スタートを切った。第2局は17日、新潟市「高志の宿 高島屋」で行われる。 本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(84)が対局を振り返ります。 ◇ ◇ ◇ 藤井棋聖のいいところばかりが目立ちました。中盤、3筋の歩を突いて山崎陣の桂頭から攻め、用意の角を自陣の6筋に打ち据えてにらみを利かせた仕掛けは斬新でした。この後、山崎八段が1筋から4筋へと角を進めた手に対し、銀を4筋に打ち込んで攻め合いを選びました。プロなら第一感で3筋に歩で打って受けます。勝てるとみたら踏み込んでいくのが藤井流の攻撃法です。 さらに攻めると見せて、2枚の守備金を使って相手の飛車と角に働きかける。彼はいつもそうですが、勝てる将棋での受けを間違えません。ちょうど8割方勝ちが見えている局面でしたが、勝利をより確実にさせる防御法にも秀でているのです。4~5月に叡王戦5番勝負で連敗した時に比べたら、かなり調子が上がっていると思います。 15年ぶりのタイトル戦登場となった山崎八段は、本年度ここまで7戦7勝と絶好調でした。その彼をもってしても今局は完敗でした。序盤の作戦の工夫が必要です。5番勝負という短期決戦は、ガラリと流れが変わります。次の健闘に期待しましょう。(加藤一二三・九段)