《ブラジル》創立50周年150人で祝福=サントス厚生ホーム
サンパウロ日伯援護協会(援協、税田パウロ清七会長)の高齢者施設「サントス厚生ホーム」創立50周年記念式典が、22日午前11時からサントス市にある同ホームで行われた。土井セルジオ紀文運営委員長は、日本からの大型寄付や援協など関係者の協力で近年のホームの設備が充実したことに感謝の気持ちを表していた。 援協の中で最も歴史のある高齢者保護施設サントス厚生ホームは、前身の「厚生ホーム」がサンパウロ市リベルダーデ区の社会復帰支援施設の建物を借りて1971年から活動を開始。74年に、かつてサントス港に到着した日本移民を援助していた「サントス移民の家」に移転し、その後に現在の「サントス厚生ホーム」に生まれ変わった経緯がある。今回の創立50周年は「サントス移民の家」に移転してから半世紀の節目を祝ったもの。 式典には、サントス市と周辺地域の協力関係者をはじめ、税田会長、菊地義治名誉会長と援協役員、入居者とその家族、ホームの職員など約150人が出席した。 式典は援協の前園マルセリーノ事務局長の司会で進行。最初に土井運営委員長があいさつし、同ホームのここ数年の設備改修状況を説明した。特に2022年に行われたJICAによる「施設等整備助成金交付事業」の助成で多目的ホールの新設とソーラーパネル設置など、設備が充実したことに感謝の意を表した。また、サントス地域の日系団体の協力により、毎年運動会、敬老会、ビンゴ大会など入居者が楽しめる活動が行えていることや、NISSEI薬局及び援協理事の井上茂則氏からの農産物等の寄付にも感謝と敬意を表した。 島袋栄喜援協副会長に続いて祝辞を述べた税田会長は、同ホームの歴史を振り返り、JICAや故・神内良一氏などからの大型寄付やホームに携わるすべての人の協力により、創立50周年を迎えられたことに感謝した。 引き続き、同ホームに貢献してきた功労者及び団体代表27人に対して、税田会長、島袋副会長、土井運営委員長からそれぞれ感謝状と記念品が贈呈された。 その後、入居者がこの日のために練習してきた音楽療法で、『みかんの花咲く丘』『上を向いて歩こう』を歌うなど4曲を披露し、来場者から温かい拍手が送られた。 壇上では菊地名誉会長の乾杯の音頭の後、税田会長と土井運営委員長によるケーキカットも行われた。 約40年前に、生産したバナナや米などを寄付し、夫人が同ホームに入居していたこともある有坂隆良さん(85、長野県)は「家内がここ(サントス厚生ホーム)に入りたいと言って数年お世話になった後、今はあけぼのホームに入居しているけれど、50年が経つのも早いね」と時の流れを感じていたようだ。 同ホームの青木スエリ施設長の母親で、亡き夫の実さん(23年2月に95歳で死去)とともにホームの奉仕活動を行ってきた青木安子さん(94、熊本県)は「主人が生前、いろいろとお手伝いをし、私も出来る限りのアジューダ(協力)をしてきただけです。ホームも整備されて本当に綺麗になりましたね」と半世紀の節目の祝いを喜んでいた。 昼食後は舞台上で、青木安子さんによる踊り『岸壁の母』を皮切りに、バレエ、カラオケなどが披露され、来場者の目を楽しませていた。