アマゾンやセブン-イレブンも実践「物流で利益を生み出す」驚きの手法 勝ち組企業に学ぶ「全体最適」の要諦
「2024年問題」により、近年、何かと注目を集める「物流」。これまで「物流は『コスト』であり、最小化することに尽きる」と考える人が多かったが、現実はそうではないという。物流が「プロフィット=利益」を生むものだと考える会社は、競争に強いだけでなく、大きく成長するポテンシャルがあるーーそう指摘するイー・ロジット取締役会長兼チーフコンサルタントの角井亮一氏が「戦略物流」という考え方について解説します。 ※本稿は、角井亮一氏の新著『顧客をつかむ戦略物流 なぜあの企業が選ばれ、利益を上げているのか?』から一部抜粋・再構成しています。 【図】物流を「プロフィットセンター化」するための思考のポイント
■米国における物流に対する考え方 1900年代の米国のマーケティング思想のなかで初めて「物流(当時、物的流通。Physical Distribution)」という言葉がでてきたといわれています。その後、1910年代に、企業経営活動のひとつである流通活動の構成要素として物的流通が重要だといわれ始めました。 物的流通とは、いままでは、販売だけが重視されていましたが、販売だけでなく、物の保管や移動も考えないといけないという考え方です。
かつて、日本でも経営の神様として尊敬され、有名なピーター・ドラッカーが、物流を「経済の暗黒大陸」「ビジネスでの未開拓領域」「最も軽視され最も約束されるビジネス領域」「企業がいまなお効率的な活用法を考えるエリア」だと名付けたのは有名です。 ドラッカーは1962年に雑誌『フォーチュン』で書いた記事「The economy’s dark continent」で、米国の消費者が払う1ドルのうち半分の50セントは物流コストだとしています。
しかし、当時はまだ、物流は製品を移動するだけの機能としてしか考えられておらず、物流コストを正確に把握することは難しいとも指摘しています。 また、ドラッカーの記事以降、ビジネスロジスティクスやディストリビューション(流通)について研究されるようになりました。あるロジスティクス研究の教授は、ドラッカーが、この研究領域を作ったといっているくらいです。 ■戦争の勝敗をも左右するロジスティクス 第二次世界大戦は、物流(兵站)の役割の重要性を世の中に広めました。それまでの戦争は、戦場での兵力や装備(兵器)が重視されていましたが、第二次世界大戦では、武器弾薬だけでなく、食料品や趣味嗜好品などを、戦場までいかに届けるかが、勝敗を左右しました。