「ジーユー」とコラボした「ロク」のロク・ファンに聞く 「ゼロから一緒に新しいものを作った」
WWD:全16型の中で、特に印象深いアイテムやお気に入りは何か。
ファン:どのアイテムもお互いに非常に深く考えて作ったものだが、自分たちが表現したいことがうまく形になったと最初に感じたのはボンバージャケットだ。“プレイフルネス(遊び心)”を明確に示していて、同時にさまざまな人に受け入れられるデザインになっている。男性も女性も着られる魅力があって、秋口から冬まで長い季節にも対応できる。袖のジッパーを開け閉めすることでシルエットが変えられ、素材感もちょっと変わっている。お客さまがそれぞれのスタイルで着こなしを楽しむことができるという、コラボが目指したものがうまく反映されたアイテムだ。
「お互いに学びがたくさんあった」
WWD:ジッパーの開閉などで何通りにも着られるといったアイデアは、「ロク」でもよく採り上げている。
ファン:お客さまそれぞれが思うように着こなせるというのは、まさに“自由”を象徴していると思う。ジップの開閉だけでなく、ドレーピングやカッティングなどさまざまな手法で、どのように“自由”を表現できるか、かつその表現が楽しいものになるかを、自分は「ロク」でも今回のコラボにおいても探っている。「ジーユー」というブランド名はもともと“自由”という言葉からきているんだということは、コラボの話し合いの最初の段階で教えてもらった。
WWD:そのように自身のシグネチャーコレクションとコラボとで共通するアプローチもあったと思うが、反対に、考え方を変えて作ったのはどういった点か。
ファン:誰のためにデザインしているかという部分は異なっている。「ジーユー」とのコラボでは、(一部のファッション好きだけでなく)世界中の全ての人に向けて服を作った。あらゆる人の体形に合うカッティングを追求し、さまざまな人種のモデルを起用してフィッティングを何度も繰り返している。「ロク」ではアイデアやコンセプトをいかに美しく届けるか、美しいものを提案するかを最重視しているので、アプローチや考え方はコラボとは異なっている。コラボを通して、自分と「ジーユー」のチームとが、お互いに学ぶことが多々あったと思う。私にとっては、より幅広いお客さまに向けて服を作るという、大きな視点を持ついい機会になった。