考察『光る君へ』9話 友を埋葬するまひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)の表情…「ソウルメイト」とはこんな残酷な意味だったのか
実資の好感度
義懐(よしちか/高橋光臣)が実資(秋山竜次)に命じる。 「帝のおそばにおなごを送りこめ、もっとつぎこめ」 む……無神経ー!デリカシーゼロ! それに対して実資は、 「いくらおなごをつぎこんだとて、帝のお心が癒されねばどうにもなりませぬ」 彼の人間としての誠実さ、真面目さが伝わる。実資の好感度が天井知らずに上がっていく、どうしましょう。 そしてよりによってこの人に「怠慢」だと言う義懐。どうしてこうも地雷を力強く踏み抜いて怒りを煽るのが巧いのだ、毎週感心してしまう。高橋光臣、憎まれ役がとても上手だわ。 今日も今日とて愚痴る夫・実資に桐子(中島亜梨沙)が、 「日記に書けばよろしいのでは?」 「日記には書かぬ!恥ずかしくて書けぬ」 でも書いちゃうんでしょ?という日本全国からの声が聞こえてきそうな台詞じゃないか。
兼家と晴明はグル
第8話に続き、我が子にドッキリをしかける兼家の目覚め。東三条邸に響き渡る詮子(吉田羊)の悲鳴、不快害虫がこちらめがけて飛んできた時くらい大きく長々と叫んでる。無理もない。 そして兼家の種明かし。 驚く子どもたち……道隆(井浦新)、詮子、道長とは違い、一人だけ「俺は知ってたぜ、俺だけは父上から明かされていたぜ」という道兼(玉置玲央)の顔! レビュー8回で予測していたが、やはり兼家と晴明(ユースケ・サンタマリア)はグルであった。ここで面白いのが、兼家が目を覚ますまでは晴明が本気で祈祷し、瘴気を払い、覚醒した兼家を気遣っているところである。そして、兼家の野望が健在であることを読み取った瞬間、「私の秘策、お買いになりますか」。 この作品の安倍晴明は、祈祷も策謀も、真面目に同じ熱量でこなす仕事人だ。 兼家「帝を玉座より引き降ろし奉る!」 不敬と最高敬語が同居している。なんちゅう台詞だろうか。 兼家、狸寝入りの間に休息と睡眠をしっかり取ったせいか、倒れる前の数倍元気になっているように見える。目はらんらんと野望に燃え、声は気迫に満ちて恐ろしい。今週も段田安則の芝居に釘付けである。