女子野球は「まだまだマイナー競技」 祖父の想いも背負い…巨人・田中美羽が抱く使命
50メートルを6秒6で走破、女子代表では不動の1番打者として活躍
女子野球界きってのスピードスター、読売ジャイアンツの田中美羽外野手は小学生の頃、将来の話になると決まって言っていたことがある。 【写真】巨人元ヴィーナスの美しすぎる開脚にファン衝撃「凄すぎ」「かわいい」 「とりあえず、私、ビッグな女になるね!」 当時を振り返りながら「そんな勢いだったんです。生意気にも」と愛嬌たっぷりに笑う。さらには「小学6年生の時には、欲張りなんですけど、アスリートとアナウンサーの二刀流をするって言って、卒業アルバムには野球のユニホーム姿でアナウンサーっぽいポーズを取る写真が載っているんです」と恥ずかしそうに明かすが、小学校卒業から14年、侍ジャパン女子代表の1番打者としても活躍する田中はビッグに描いた将来と違わぬ道を歩んでいる。 6歳から野球を始め、中学では女子硬式野球チームのオール京急に所属。横浜隼人高の女子野球部を経て、日本大に進学後は女子硬式野球チームのアサヒトラストでプレーした。2020年に埼玉西武ライオンズ・レディースへ移籍。3シーズンを過ごした後、2023年に同年から本格始動した読売ジャイアンツの一員となり、2シーズン目を迎える。 とにかく野球が大好き。50メートルを6秒6で駆け抜ける快足で、ずっと白球を追っていたい。だから、少しでも成長できるように日々の努力は惜しまないし、試合に出るためだったらポジション変更も厭わない。
思わず口をついた「できます!」の言葉から始まった外野のキャリア
西武でプレーした2021年のある日、練習試合の前に新谷博監督から声を掛けられた。 「外野できるか?」 正直に言うと、ほとんど経験はなかった。だが、田中の口をついたのは「できます!」の言葉だった。 「ずっと内野で勝負していたんですけど、チームとして内野手がほぼ決まっていた。でも、自分も試合に出たかったので『できます!』って言っちゃいました。そうしたら『じゃあ、レフト守れ』って言われて、『うわっ、どうしよう』と(笑)」 ポジショニングも不慣れなまま、打球の飛び方だけをイメージしながら、その日はなんとか守り切った。「とにかく試合に出てアピールしないと何の意味もない」と、そこから内野の練習に加え、外野の勉強を始めた。当初は内野へのこだわりもあったが、「外野で時間を長く費やせば費やすほど、好きになってきたんです。奥深さというか、魅力を感じるポジションなんですよね」と楽しそうに話す。 「守備範囲が広いので、最初の数歩でボールが捕れるか捕れないかが決まってしまう。あと、女子野球に関して言えば、ライトゴロが発生することもある。ヒット性の打球を自分でアウトに変えられるワクワク、ゾクゾク感があるんです」 2018年に初めて代表入りした「第8回 WBSC女子野球ワールドカップ」では二塁を任されたが、5年ぶりに選出された2023年「第9回 WBSC女子野球ワールドカップ・グループB」では不動の1番打者として左翼を守った。「内外野どちらでも守れることが自分の武器にもなった。特に短期決戦の世界大会では生きると思います」。出場メンバーに選出された今年7月の「W杯ファイナルステージ」では、スピードとユーティリティ性を存分に生かしながら大会7連覇を目指す。