本郷和人『光る君へ』安倍晴明が兼家をおはらいするも効果なし。道長もあの病で目をやられ…平均寿命が35歳に届かないのも当然な<平安貴族の医療事情>
◆医者もいたけれど 現代において病気になったら、たいていはお医者さんの力を借りることになると思いますが、平安時代にも医者はいました。 医師(くすし)は、律令制下の日本における典薬寮の職員で、従七位下相当。定員10名。 医師希望の者は、13-16歳位で医生として典薬寮に入学。教養課程2年及び専門課程(内科7年、外科5年など)を経たのち、卒業試験と任官試験を受けて合格して朝廷専属の医者になります。 実態はよく分かりませんが、経験則に基づいて薬草の調合をやっていたのだと考えられます。 ただし当時、えらい人の調子が悪くなれば、お医者さん以上にお坊さんが活躍します。お坊さんに「加持・祈祷」をしてもらって、まずは病魔の退散を祈るわけです。 まあ、それでは治りません。というわけで、平安貴族の平均寿命は短かったのですね。 ※本稿は、『応天の門』(新潮社)に掲載されたコラムの一部を再編集したものです。
本郷和人
【関連記事】
- 本郷和人『光る君へ』本郷奏多さん演じる花山天皇に入内した井上咲楽さん演じるよし子は、そのまま「夜御殿」で…そもそも「入内」とは何か
- 本郷和人『光る君へ』「和歌」による求愛を「和歌」で拒絶!絶世の美男美女・在原業平と小野小町のやりとりから見る<平安時代の恋愛ルール>
- 中宮ですらなかった吉田羊さん演じる詮子。しかし天皇との間に皇子が産まれ、藤原兼家流は権力を…複雑すぎる『光る君へ』前後の天皇と藤原氏の関係を日本史学者が整理
- マンガ『源氏物語』第1話【桐壷】紫式部は「光る君」を実際にどう描いた?帝と桐壺の間に誕生した美しすぎる源氏の君は元服後、義理の母との道ならぬ恋へ…
- 本郷和人 なぜ家康は「特Aクラスの戦犯」上杉・島津・毛利を関ヶ原後に取り潰さなかったのか?外様に領地を与え、譜代に領地を与えなかった統治の妙【2023年間BEST10】