クレカ決済規制が「女性向け」にも波及しつつある…停止判断は“どこが行っているか”責任の解明も課題、解決に向け政界にも動き
近年、マンガやイラストといったクリエイターの創作作品が多く取引されるサービスを中心に、一部の決済手段が「取り扱い停止」となるケースが相次いでいるが、先日より女性向けを含むサービスで同様の事例が複数発生し、幅広い分野にまで波及しつつあるとして話題になっている。 【関連】代行会社から連絡があったと言及するサービス運営・山田太郎議員による報告 先日9日、アニメイトが運営するボイスドラマの配信サービス「ポケットドラマCD」の公式が「オトナの女性向け」カテゴリーに属する作品のクレジットカード決済を停止することを明らかにした。メンテナンス実施以降、対象作品の購入には自社決済のアニメイトペイとPayPayを促しているが、決済停止となった理由については明らかにされていない。 オトナの女性向け、つまりアダルトコンテンツが対象となり、それ以外のBL(ボーイズ・ラブ)や一般作品については影響はないとしており、決済事業者側から何らかの影響を受けたものと見られる。 そして翌10日、同人誌や関連商品の販売を行う専門サービスとして、女性向けでの流通にも強い「pictSPACE」が頒布物の決済においてVISAおよびMasterCardブランドのクレジットカードが使用不可になることを明らかにした。2025年1月1日0時以降、同サービスではJCB、AMEX、ダイナースクラブブランドの決済および、Paidy後払い、銀行振込の利用を促している。 この動きをめぐって、クリエイターやユーザーからはこれまでダウンロード販売の最大手「DLsite」「ニコニコ」などで発生していた問題が「女性向けに波及している」と指摘する声も多く見受けられる。さらに、後者のpictSPACEの事例では利用不可になる旨の通達を「決済代行会社」より受けたことを明らかにしている。
決済停止はどこの判断?責任の透明化求められる
決済代行会社とは、加盟店(事業者)が決済事業者(クレジットカードブランド)との間で決済処理を行う事業者を指し、複数のブランドを一括して処理することから、原則としてクレカ決済を導入する場合は代行会社と契約する。そのため、先の例ではVISAなどから直接的に連絡されたものではないこととなる。 今年より多発していたこの件について、界隈や関係者からは国際系ブランドが直接的に決済停止を促した可能性が指摘されていた。しかし今夏、本件に取り組む山田太郎衆議院議員がVISA本社に聞き取り調査を行ったところ、担当からは「VISA本社は、特定の用語を含むコンテンツについて、取り扱ってはならないといった指示を出したことはない」との回答が得られたことを明かし、責任の所在が新たな問題として浮上した。 また、先日にVISA関係者が応じた報道の内容を一端に、前記の聞き取りが覆る可能性が指摘されていたが、これについても山田議員はVISAから「合法であるコンテンツ等に対する価値判断は行なっていない」「内容に関する基準は定めておらず、判断もしていない」などの回答をあらためて得たことを明かした。 そのため、今回の件を含め、決済代行会社による通達はどの過程でだれの責任により行ったのかが明確に公にされておらず、対応の難しさが指摘されていた。関係団体は参議院の院内集会を3日に開き事業者や関係者との情報交換を進めているほか、衆議院予算委でも質問が行われているなど、解決に向けたアクションが進んでいる。
編集部 経済・社会担当