県立高校で北朝鮮拉致問題の特別授業 神奈川で初の取り組み、若い世代へ啓発
拉致問題について触れる機会の少なかった若い世代の理解を深めていこうと、神奈川県は初の取り組みとして、県立城郷高校(横浜市神奈川区)で特別授業を実施した。北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(60)=拉致当時(13)=の弟で、拉致被害者家族会代表の横田拓也さん(56)の講演などが行われ、参加した約500人の生徒が熱心に耳を傾けた。 授業では、めぐみさんの拉致事件を取り上げたアニメ「めぐみ」が上映され、黒岩祐治知事が高校生に対し、「自分事として考えてほしい。皆さんが生まれる前の話だが、こういったことがあったことを理解し、語り継いでほしい」などとメッセージを伝えた。 拓也さんによる講演では、めぐみさんについて「本当に明るいお姉さん。花にたとえるとひまわりのようだった」と紹介。若い世代が理解を深めていくことの重要性にも触れ、「拉致問題は歴史の話をしているわけではなく、一人ひとりの問題であることをぜひ理解してほしい。私たちとともに一緒に戦ってほしい」と強調した。 その後、黒岩知事や拓也さんと高校生による意見交換が行われ、高校生からは、拉致問題について若い世代の関心をどのように集めるかや、高校生の自分たちができることなどを問う場面もあった。 授業に参加した2年の安武希莉さん(17)は「北朝鮮による拉致があったことは知っていたけど、初めて知ったこともあった。同世代や次世代に伝えていくことが、私たちにできることだと思う」と話した。 同高は今年度、文部科学省の人権教育研究指定校になっているといい、拉致問題を風化させないことなどを目的にした「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」(10~16日)に合わせて今回の特別授業が行われた。