一時は総裁本命と言われるも…「3位転落」の小泉進次郎 陣営内が「投票前から諦めムード」だった訳
急失速に直面し……
自民党総裁選の投開票(9月27日)まで残り5日となる9月22日、小泉進次郎元環境相(43)は党本部での討論会を終え、セレブ御用達の高級中華料理店「富麗華」に向かった。 【写真】3位転落の可能性も…窮地に追い込まれた小泉進次郎 自民党内では二階俊博元幹事長(85)の行きつけの店として知られている。夜のコースは1万4300円から4万4000円と、庶民には縁がなさそうな値段である。 公にはしていないが、フカヒレ好きで知られる進次郎氏、高級料理に舌鼓を打ったのかと思いきや――。 「支持する議員を集めては、連夜、高級店で会食しています。昼も叙々苑やKINTANの高級焼肉弁当やニューオータニの弁当を振る舞って、国会議員からの評判は上々です。推薦人が集まらずに出馬を断念した斎藤健(経産相・65)さんを17日に自陣営に引き入れ、議員票を58まで集めた。決選投票を見越して戦略を練っていましたが、党員票が伸び悩んでしまっている。信ぴょう性が高いとされる読売新聞・日本テレビによる党員調査(9月14日~15日、21日~22日)では2週続けて3位に沈んでおり、陣営は焦り始めています。 党員票は国民の感覚に近いといわれ、ここで1位ないし2位が取れなければ『選挙の顔』と見なされない。9月26日が党員票の投票締切ですが、投開票日1~2日前には党員票の配分がほぼわかる。3位のままでは、様子見をしている約2割の国会議員の支援も見込めず、すでに支持を表明する議員も土壇場で離れてしまうでしょう」(小泉選対関係者) 8月23日に結果が公表された日本経済新聞社とテレビ東京の緊急世論調査では、「次の総理にふさわしい人」の項目で、進次郎氏は石破茂元幹事長(67)を抑えて1位。ところが同社が9月13日から15日に行った調査では、高市早苗経済安全保障担当相(63)に抜かれて3位に転落。共同通信の調査でも、党員票は3位となっている。 ◆「若さと勢い」頼みでは…… 立憲民主党の渡辺周衆議院議員(62)は総裁選の行方をこう分析する。 「『労働市場改革の本丸、解雇規制を見直す』と打ち出したけど、不勉強というか、深く理解していないまま話しているのが見てとれる。’13年の安倍政権で『金銭で解決していく自由化の考えはない』という答弁がなされているが、そういう背景も知らないのではないか。進次郎氏の言葉は耳触りはいいが、地に足がついておらず、『若さと勢いだけか』『危ないな』と自民党員も危惧したのでしょう」 類稀なスター性で裏金問題を吹き飛ばす『選挙の顔』と見なされていたが、いざ論戦となると質問とズレた回答を繰り返す。政策への理解不足や政治家としての経験不足が露呈してしまった形だ。 「ブレーンが書いた原稿を見て『これ、おかしくないですか?』とチェックする能力もない。自分の頭で問題を考えておらず、自分の言葉で語っていないから真贋が見抜けないのでしょう」(渡辺氏) 進次郎氏の苦境に党の“長老”たちが立ち上がった。旧安倍派に影響力を持つ森喜朗元首相(87)が、9月16日付の北國新聞でこう持ち上げている。 〈進次郎さんも私の事務所にたまに来る。横須賀のせんべいを買ってきて、うまかったと言うと、また同じものを持ってくる。かわいげがあって、心根がいい。政治家として物事に対する決断が速い。そこは父親譲りだろう〉 JR桜木町駅前で行った街頭演説には菅義偉元首相(75)が駆けつけた。直前まで車内で身体を休め、お世辞にも体調がいいようには見えなかったが、菅氏はこうエールを送った。 「日本の舵取りを託したい。そんな思いで一緒になって応援している」 ◆メディアとも距離が生まれて 長老らからの熱烈な支援がありながらも、前出の選対関係者は頭を抱えている。 「菅さんに近い議員グループ『ガネーシャの会』から10人が推薦人に名を連ねていますが、その多くが選挙に不安を抱える議員で、進次郎さんを自分の地元に連れて行こうとしている。斎藤さんは裏で石破陣営から秋波を送られているようで、どれだけ本気かわからない。森さんは『安倍派の40人をまとめた』と喧伝しているようですが、実態は定かではないし、裏金問題で国民の心証が悪い森さんが出てくると党員票が逃げかねない」 小泉選対でメディア対応役を担うA氏のズレっぷりは関連記事『【独自】小泉進次郎が地元後援会に送った「5万円おねだり」衝撃文書を独自入手!』で記した通り。 「(自民党担当の)平河クラブの幹事社が総裁選の全候補にグループインタビューを申し入れていたのですが、陣営は多忙を理由に断った。ただ、進次郎氏以外の候補は全員応じていたこともあり、再度の要請をかけたところ、スポーツ新聞からも合同でのインタビュー依頼があったようで、21日にまとめての開催となりました。全国紙・地方紙とスポーツ新聞の読者は異なるので、インタビュー中の質問は当然、噛み合わない。進次郎氏が一方的に労働問題を熱く語って、『大臣在任中に子どもが生まれたのは私が初だ』とよくわからないことをドヤ顔で話していました。インタビュー後、千葉県富津市への視察で同行取材の希望を募るも、代表取材のNHKしか手を挙げなかった。当初、彼を好意的に取り上げていたメディアとも距離ができつつあります」(全国紙政治部記者) 本日投開票が行われる総裁選は、3候補が激しく争う混戦となっている。進次郎氏が好物のフカヒレで胃袋を満たしている最中も他陣営からの「引き剥がし」が行われていたはずだ。一時は総裁の座に手が届きかけたように見えたが、決選投票に残れるかどうか。瀬戸際に立たされている。 取材・文:岩崎大輔
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