過敏性腸症候群(IBS)で、食事制限や治療薬が効くのは、このタイプ
腹痛や下痢、便秘が頻繁に起こるので、電車に乗れば各駅で下車、試験や会議は何度も中座。食事後にすぐトイレに行きたくなるので、外食もできない……。そんな人は、「過敏性腸症候群(IBS)」かもしれません。よくわからない怖い病気というイメージを持つ人もいるでしょう。でも、原因をつきとめ、適切に対処すれば治せる病気です。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 そこで、この連載では、話題の新刊『過敏性腸症候群(IBS)くり返す腹痛・下痢・便秘から脱出するには』(水上健 著)のエッセンスを全8回にわたりご紹介。過敏性腸症候群(IBS)の特徴や治療法、日常生活で注意すべきことなどを詳しく解説します。 自身やまわりの人の症状を和らげながら、健康な体を取り戻していくためのヒントを見つけてください。前回に引き続き、IBSのタイプ別治療法についてお伝えします。 『過敏性腸症候群(IBS)くり返す腹痛・下痢・便秘から脱出するには』 第7回 〈あなたは過敏性腸症候群(IBS)のどのタイプ? 効果的に治療を進めるポイントをチェック〉より続く
「胆汁性下痢型」には特効薬といえるほどよく効く薬がある
胆汁型下痢性の方は、まず朝、トイレに行くことを心がけます。朝食後は、体内下剤である胆汁酸が多く分泌されますので、排便習慣が大事です。便意がなくても3分程度の排便努力をしましょう。 そして食事は、脂質異常症が避けたい食品とされる、卵類、乳製品、肉類やその内臓類(レバー、モツ)、魚卵などの食べすぎに気をつけます。下痢の悪化要因になる香辛料、コーヒー、アルコールにも注意しましょう。 排便習慣の改善が第一で、改善しない場合に食事療法、そして薬物療法を検討します。 食事をすると下痢を起こすのは、たくさんの胆汁酸が大腸に届いてしまうからなので、薬物療法では、このしくみに着目します。 よく効くのは、虫垂炎の薬です。虫垂炎が抗生剤で治せるようになり、手術が少なくなってきたころ、胆汁酸を吸着して便に排出する薬、コレスチミドが登場しました。しかし、虫垂炎の手術が減ったため、あまり使われることもありませんでした。また、便秘が副作用としてよく知られていました。 近年、虫垂炎の手術をしていなくても大腸に胆汁酸が多く届く体質の人に、コレスチミドが有効であることが知られることとなりました。過敏性腸症候群(以下、IBSと表記)の胆汁性下痢型の患者さんに、特効薬といってよいぐらいによく効きます。 胆汁酸の主要成分はコレステロールです。コレステロールが増えすぎるのは脂質異常症で、コレスチミドは脂質異常症の治療薬です。現状、コレスチミドは、血中コレステロール濃度を測定しながら使用します。