【社説】韓国地方空港安全規定に穴はないか徹底的に点検を
務安(ムアン)国際空港で発生したチェジュ航空事故の原因調査が進められている中で空港と航空会社安全規定を巡りさまざま問題提起が続いている。 人命被害が大きくなった原因で最も多く指定されたのは旅客機の着陸を助けるアンテナ施設「ローカライザー」だった。これが土で覆われたコンクリート構造物だったことで事故の被害が大きくなったという分析が多く出された。航空機と衝突すれば簡単に壊れるようにローカライザーを設置した外国空港の事例とあまりにも違いすぎた。滑走路末端にコンクリート構造物が設置されたのは最悪の空港設計という海外航空専門家の指摘が相次ぎ、国土交通部は「規定上問題ない」という従来の立場から一歩退いて「規定に合っているのか検討し直す」と明らかにした。いち早くそうするべきだった。務安空港のローカライザーが端安全区域の外にあり関連安全基準や設置基準が適用されないという主張だけでは説明が足りない。端安全区域が国際基準の最小義務基準は満たしてはいるが勧告基準には達し得ていないのも事実ではないのか。大型惨事が起きたこと自体が安全基準に何か穴があるという傍証だ。航空当局はコンクリート方式のローカライザーが設置された他の地方空港の安全点検から直ちに始めなければならない。 鳥類衝突(バードストライク)発生率が全国14カ所の地方空港のうち最も高い務安空港には鳥類探知レーダーも、熱画像探知機もなかった。そのうえ地方空港を運営して管理する韓国空港公社はリーダーシップ不在状態だった。社長は8カ月間不在だ。専門性が必要な空港公社に天下り人事を適用したのは文在寅(ムン・ジェイン)政府も尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府も同じだった。 航空当局は今回の惨事を契機に格安航空会社(LCC)の運営と安全管理実態を再び点検しなければならない。地域ごとに許可を乱発して9社もできた格安航空会社が本来の目的通り地域住民や地域経済に寄与しているのか再点検してほしい。収益性を追い求めて日本・中国・東南アジアなど人気路線の運航を増やし、そもそも国内の地域運航便は減らしたという不満が出てきて久しい。もっと重要なことは収益性を追求するために整備など安全を疎かにしていなかったか徹底的に点検しなければならない。今回事故が起きた航空機は48時間に13回も運航したが整備は最小の要求水準を満たすだけだったという報道が出ていた。無理な運航と不良整備はなかったか、しっかりと監督しなければならない。 航空機を管理・監督する国土交通部所属の航空安全監督官人材も大幅に足りないという。今回の機会を航空安全管理体系を全面的に再点検する契機にするべきだ。セウォル号惨事以降、「すべての日常が安全な大韓民国」を作ろうと、政府も国民もあれほど誓ったのに、相変らず進むべき道はただただ長い。