新広島駅ビル 外観デザインに込められた秘話 コンセプトは「品格とシンボル性」、「平和」、「川と海」
広島ニュースTSS
ツイセキです。 来年春の開業まであと半年ほどに迫った新たな駅ビル。 完成間近となった外観のデザインに込められた『秘話』に迫りました。 いまからおよそ4年半前、当時の駅ビル「ASSE」が半世紀以上の歴史に幕を下ろし、その後、建て替え工事が進められてきた広島駅の新たな駅ビル 【JR西日本 広島駅ビル工事所・田原潤一 副所長】 「なかなかパッとみたらわからないことが非常にいっぱいあって、色々な方がいろいろな議論を重ねて、ここたどり着いた」 コンセプトにしたのは「品格とシンボル性」・「平和」・「川と海」の3つのポイント。 【JR西日本 広島駅ビル工事所・田原潤一 副所長】 「全体的に白で爽やか。品格のある佇まい。シンボル性ということで、ここが実はゲート。人々を迎え入れたり送り出すゲート性をもたせた門型」 【加藤キャスター】 「結構このあたりは開けた感じが強く出る」 【JR西日本 広島駅ビル工事所・田原潤一 副所長】 「そうですね、開けたところにシンボリックなものを集中させて広島らしさ、広島駅らしさを出している」 広島の陸の玄関口としていかに『マチと交わらせるか』50年・100年という『長い年月に耐えられる魅力にするか』が重要になります。 【加藤キャスター】 「博多駅や新大阪駅と比べると、ややおとなしめのイメージ」 【東畑建築事務所 設計室・安岡寛治 部長】 「旧駅舎や駅ビル、高さがあまり高くなかった時代が長かった。そういう駅前の佇まいを継承していく。なおかつ時代に合わせて機能性を高めるということで高層棟・ホテル、面積だけ確保するのであれば、タワーで大きく細くつくることもあったかもしれないが、これまでの駅としての顔。駅としての流れを考えて低層棟の横に広いボリューム感」 そして、この青で囲った部分が『平和』を意識したデザイン」 その誕生の裏では…。 【JR西日本 広島駅ビル工事所・田原潤一 副所長】 「設計するときに、実際に折り紙で折れる形を外壁に使っていこうということで」 【加藤キャスター】 「すごいですね、こうなるんですね!ここはこういうイメージ」 【JR西日本 広島駅ビル工事所・田原潤一 副所長】 「ほぼ一緒です。こうやって“折り”のモチーフを建物に入れ込むと」 さらに、取り出したのは検討するために作ったという実物大の模型。 【加藤キャスター】 「やろうと思えば半分でも3分の1でも色味など分かると思うが」 【大林組建築設計部・山田隆司 担当部長】 「(確認が)プロばかりだったら小さい模型でもいいが、いろいろな方に確認してもらうのは1分の1が大事でわかりやすい。これだけたくさんの1分の1をつくったプロジェクトはなかなかない」 そして、3つ目のポイント「川と海」の表現では…。 【JR西日本 広島駅ビル工事所・田原潤一 副所長】 「あそこがちょうど日光受けて、よく見えるかと思うが、ランダムに配置したキラキラのタイルがよく見えるかと思う」 【加藤キャスター】 「より川に光が入ってキラキラしたようなときに近い」 実現させるために50パターン以上のデザインを試し、アールのついた5種類のタイルを厳選。 【大林組建築設計部・山田隆司 担当部長】 「何十万枚とあるタイルを(赤と青が2枚以上)隣合わないように、みんなでどうしたらいいか見えない工夫がされている」 【加藤キャスター】 「自然感を出すためにものすごく緻密な計算があった」 【大林組建築設計部・山田隆司 担当部長】 「それでこの奥行き感がある白が実現している」 また、ホテル上層部の壁面、瀬戸内海をイメージした青のラインも…。 【JR西日本 広島駅ビル工事所・田原潤一 副所長】 「あれが普通の単色になっているとちょっと黒っぽく見えるが、まだらにしているので、シャープだが青が良く見えるように工夫した」 そのほか屋上広場に設置する階段も事前に模型を作って、手間ひまかけたといいます。 【大林組建築設計部・山田隆司 担当部長】 「たかが(滑り止めの)ノンスリップをめちゃくちゃ議論した」 【加藤キャスター】 「この部分ですね」 【大林組建築設計部・山田隆司 担当部長】 「黄色は目立つので、安全性は高いがデザイン損なうよね。こういう樹脂系のものを流し込むとこれは滑りにくいがウッドデッキの質を損なうねと」 【加藤キャスター】 「座る時もかみしめていただきたいですね」 【大林組建築設計部・山田隆司 担当部長】 「たかが座るところだが、そういう議論があったということをお伝えしたい」 工事での利便性を確保しながら進められた作業。 現在およそ1000人の作業員が一体となり大詰めに入っています。 <スタジオ> 本当に新しい広島の陸の玄関口ということになりますね。 【コメンテーター:広島大学大学院・匹田 篤 准教授】(社会情報・メディア論が専門) 「小説とか詩で『柔らかな陽の光』って時々使われますけれども、そういう川面のキラキラとか木漏れ日とかいいですね。どうしても眺望のことを考えると、ガラス張りの建物が多いんですけれども、こういった太陽の光を間接照明にして、柔らかな陽の光を実現していく、知らないうちに心の安らぎを与えている。この奥ゆかしさがたまらないですね。すごくいい魅力だと思います」
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