「LVMHプライズ」セミファイナリスト コッキにインタビュー
本質的に新しい服はなかなか生まれない コッキが見出した「誰にも真似できない」オリジナリティ
ー2023年秋冬シーズンには、東コレで初のランウェイショーを開催。今後の発表形式について教えてください。 今後どうやって発表するかというところはあまり考えていないですね。チームの方針として「ショーがやりたいね」となったら実施するかもしれませんが、今のところ未定です。 ただ、他のブランドのショーを見ると刺激を受ける部分は確かにあります。2024年秋冬シーズンはご招待いただいていくつかショーを拝見しましたが、タイトなスケジュールの中でしっかりしたものを作り上げていて凄いな、とリスペクトすると同時に、自分たちも何か表現したいという気持ちがふつふつと湧いてきました。 ーコッキはファッションプライズ「LVMHプライズ」のセミファイナリスト20組に選出されました。 セミファイナリストまで残していただいたのは有り難いですが、今の気持ちは完全にニュートラルですね。目の前の服作りに忙殺されていることもあり、プライズの結果に考えを巡らせる余裕がないというのが正直なところです。 ーブランドとしての現在の課題は? 全てですね。課題がないポイントは一つもないと思います。先ほどオンラインストア「EYE」について話したように、いかにしてお客さんにブランドの価値を感じてもらうかというプロモーションの部分もそうですし、どうやって販路を広げていくかというセールスの部分もそう。これらを全て引っくるめて服のデザインだと思っているので、今後更に突き詰めて改善していきたいなと考えています。 ープロダクト部分の課題はどのように考えていますか? コッキではデザイナーズブランドの特徴を色濃く映したアイテムのほかに、世界各地の職人さんのクラフトマンシップを活かしたアイテムをブランド当初から継続して展開しているんですが、後者のアイテムのクオリティをどのブランドも追いつけないくらいのレベルまで引き上げたいと考えています。モードで革新的な服というのは2000年代前半までに先輩ブランドがやり尽くしてしまって、いわゆる本質的に新しい服というのはなかなか生まれづらいのかなと思っていて。ワンシーズンごとに新しいテーマを設けてコレクションの雰囲気をガラッと変えるという手法はある意味「アンチサステナブル」なのではないかという想いもあり、最近では職人さんたちの技術をいかにモダンかつファッショナブルに昇華できるかという部分に面白さを感じているんです。一度仕事をご一緒させていただいたら取り組みを継続することに意味があると考えているので、今お取り組みがある職人さんとは今後も末長くお付き合いしていきたいですね。 ー2024年秋冬コレクションで登場した刺繍を全面に施したパンツはクオリティと遊び心を両立していて、非常に魅力的でした。 インドの職人さんにお願いして手刺繍で仕上げていただいたアイテムですね。チームメンバーそれぞれの好きなモチーフをごちゃ混ぜにして散りばめています。有難いことに展示会でも多くの方にご好評をいただきましたが、まだまだ満足はしていないです。トラディショナルなものをそのまま服にするのではなく、生地の使い方などを工夫することで見た人が新鮮な気持ちになれる服を本当に高いレベルで作れたら、誰にも真似できない。群雄割拠のファッション業界の中でも吹き飛ばされないオリジナリティを確立できると思っています。 ーアジアを中心に海外アカウントも増えていると聞いています。ブランドの今後の展望を聞かせてください。 具体的な数字としてお話できることはないのですが、個人的に今のビジネス拡大のやり方は間違えていないと思っていて。2024年から「Seiya Nakamura 2.24」に海外セールスをお願いするようにしたことでグローバル展開もやりやすくなったと思いますし、事業拡大に伴いチームメンバーを増員することも考えています。このペースを維持しながらチームとして突き進んでいきたいですね。 (聞き手:村田太一) ■KHOKI 公式インスタグラム 公式オンラインストア「EYE」