【アメリカから見た中国(2)】友好と冷却の間でゆらぐ日中韓関係
米ペンシルバニア大で取材に応じた、同大現代中国研究所所長のゴールドシュタイン教授(マシュー・コラサ撮影)
【連載・アメリカから見た中国(2)】韓国の経済成長、北朝鮮の長引く孤立と、水爆実験とされるもの、中国の拡大する自己主張、そして日本の近年の防衛政策の変化によって、この地域の地政学的な風景が変わろうとしてる。中国研究の第一人者、ペンシルバニア大学教授のアヴェリー・ゴールドシュタイン教授に、近年の日中韓関係の展開について意見を聞いた。
初期朴政権下での中韓関係の友好化
韓国の朴槿恵政権前期の外交は、この地域で最大の外交関係の変化を目撃した。ゴールドシュタイン教授は「中韓関係や日韓関係は、日中関係よりも良好な関係を築いていた」と指摘する。 変化の理由は何か。「韓国の現職大統領が、その先任者と違って、中国と韓国の関係の良好化に努めたからです。彼女は北京を訪問した。それは大変成功した訪問でした」 ゴールドシュタイン教授は、このことが日韓関係にも影響を与えたのではないかと推測する。「もしかすると、そのことが、日本が戦時中の慰安婦問題について、積極的に妥協し、日本が正式に謝罪し、韓国がそれを受け入れ、この問題を集結させた理由なのかもしれません。この問題についてもういかなる時も持ち出さないようになった。これはある種のブレイクスルー(突破口)です」
「日韓関係は良好化と冷却化を揺れ動く」
ゴールドシュタイン教授は、この合意を「アメリカも望んだこと」だったと指摘する。「アメリカは日本も韓国も同盟国だと考えており、アメリカ、韓国、日本が地域の問題に対して確実に協力することを望んでいます。問題は、日韓間の合意のほとんど直後から、韓国の一部で、この合意は不十分だ、これは十分な謝罪ではないという声があり、また日本の一部の人が、日本は謝罪するべきではなかったというコメントを発していることです。合意が維持されたとしても、不透明な部分もある。日韓関係は、関係の良好化と冷却化の間を、時とともに揺れ動くことになるだろうと考えています」
しかし、中国と韓国の関係もまた、問題を抱えている。