【アメリカから見た中国(2)】友好と冷却の間でゆらぐ日中韓関係
北朝鮮の核実験後、電話に出ない中国に落胆した韓国
特に中国は、韓国の敵、北朝鮮と同盟関係にあるのだ。「韓国の朴槿恵大統領がどんなに中国政府と関係改善のために努力したとしても、北朝鮮の核実験のあと、中国政府は、朴大統領からの電話に出ようとしなかった。韓国政府は、中国政府に直接接触し、『核実験は異常だ、北朝鮮は異常だ』と伝えたかった。韓国の報道を見ていると非常に明らかですが、韓国のエリートと恐らく大統領は、中国が北朝鮮の核実験について、韓国に対して直接対応してくれなかったことに対して、非常に落胆しました」 ゴールドシュタイン教授は、この中国の対応は、良好な関係を築いていた中韓関係に少なからず影響を与えたのではないかと指摘する。「彼らがそのような対応をとった理由は、『だって私たちは公式には北朝鮮と同盟関係にありますから』というものです。その対応は適切ではなかったかもしれないし、馬鹿げたものだったかもしれない。なぜなら、これで中国と韓国の関係が損なわれたと私は考えるからです」 実際、韓国はこの後にアメリカのミサイル迎撃システム「サード」の配備受け入れを決めた。中国はこれに強い反発を示し、北朝鮮と2国間で外相会談を開くなど北朝鮮との関係強化の動きも見られ始めている。朴政権下で蜜月と思われていた中韓関係は、再び緊張へ向かっており、東アジアの外交はますます複雑化しつつある。 ◆アヴェリー・ゴールドシュタイン ペンシルバニア大学現代中国研究所所長、同大学教授。国際関係論、安全保障論、中国政治が専門。中国研究の第一人者として知られ、最近の著書に「China’s Challenges: The Road Ahead (U. of Pennsylvania Press 2014)」がある。 (取材・文 マシュー・コラサ、翻訳・中野宏一/THE EAST TIMES)