能登の大動脈対面再開 能越道、里山海道
●復興の動き加速 能登半島地震の影響で輪島方面への一方通行となっている能越自動車道・のと里山海道の区間で17日正午、対面通行が再開された。被害が大きい能登大橋(穴水町)周辺を除く全区間が対象。奥能登への移動や物資輸送の円滑化につながるほか、災害ボランティアや復旧に携わる応援業者が作業に当たれる時間の延長も期待され、復興に向けた動きに弾みがつきそうだ。 ⇒【図表】能越自動車道とのと里山海道の復旧状況 対面通行が再開したのは、能越道ののと里山空港―穴水インターチェンジ(IC)間(6・2キロ)と、のと里山海道の穴水―徳田大津IC間(27キロ)。 能登大橋周辺は大規模崩落によって応急復旧に時間がかかっており、当面は交互通行となる。9月末までに対面通行できるよう目指す。別所岳サービスエリア(SA)は金沢方面でトイレの利用が可能となった。輪島方面のSAについては当面の間、閉鎖を継続する。 対面通行が再開された正午、輪島市三井町ののと里山空港ICでは、業者が通行止めのカラーコーンを撤去すると、次々と車が乗り入れた。 奥能登の関係者からは歓迎の声が聞かれた。ボランティアの受け入れ窓口となっている輪島市社会福祉協議会の田中昭二事務局長(66)は「のと里山海道や能越道で行き来しやすくなるのはありがたい。ボランティアが能登に入りやすくなる環境が整うことになるのでうれしい」と語った。 国土交通省能登復興事務所の田中義太郎道路計画グループマネジャーは「道路の復旧は能登地域の被災者の生活再建のほか、物流や産業、観光などあらゆる分野の復興の礎。今日が復興のスタートになる」と期待を込めた。 ●横田ICに信号機 石川県警は対面通行が再開されたのに合わせ、のと里山海道の横田ICで信号機の運用を始めた。 IC付近は地震の影響で本線が使えず、七尾市街地から乗り降りする道路(ランプ)を利用しているためで、信号機を活用して交通事故防止と交通の円滑化を図る。信号は感応式で、市街地から乗り入れる車がないと本線の信号は赤にならない仕組みとなっている。 ★能登半島地震の道路被害 2024年元日の地震では、大規模な地滑りや盛り土崩落などによる道路寸断が多発し、各地で集落の孤立が相次いだ。国土交通省北陸地方整備局によると、1月時点で能登半島の主要幹線道路は最大42路線87カ所で通行止めになり、6月末時点でもなお半数が通行できない。土砂崩れによる不通が複数箇所で続く国道249号は、隆起した海岸部分に迂回(うかい)路を造るなどして仮復旧を急いでいる。