日本で暮らして感じる「罪悪感」 ウクライナ人が同僚に知って欲しいこと ニュースだけでは分からない“リアル”①
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻からすでに2年が過ぎ、戦争が常態化したウクライナの人たちは今、何を考えているのか。戦禍を逃れ日本に暮らす23歳のウクライナ人女性が、同世代の日本人学生に思いを語った。 【画像】身も心も温める兵士飯「ボルシチ」 キーウ郊外…真冬の廃校で共同生活
「ウクライナ人は今、すごくいっぱい辛い気持ちがあります。話ができたら、もしかしたらそんな痛みはちょっと和らぐと思います」 そう話すウクライナ人女性、メルニク・ヴィクトリアさん。ヴィクトリアさんはリビウの大学で日本語を専攻、約1年半前の2022年9月、支援団体の助けで来日した。ヴィクトリアさんは今、日本テレビで翻訳の仕事に携わる。その彼女の「ニュースだけでは分からないウクライナのリアルを伝えたい」という希望に応え、職場で一緒に働く日本人の学生7人が集まり、話を聞いた。 「(ウクライナから)海外に行った人たちは全然違う生活を始めました」 「普通のすごくいい生活を始めましたが、ウクライナに残した人たちはまだ辛い生活を送っているから、ちょっと罪悪感があると思います。例えば、ソーシャルメディアで写真とかビデオを投稿したい時、“ああ、投稿していいのかな”という気持ちになります」 「(私に)そんな権利があるのか…。その写真を投稿したら、もしかしたら(ウクライナにいる)私の友達が見てちょっと傷つくかもしれない。でも、生活が変わったから自分の嬉しいことを共有するのも大事です。時々その気持ちがぶつかります」
■「“外国人に伝えるチャンス”とすごく盛り上がった」
ヴィクトリアさんが明かしてくれた葛藤。大学で難民支援の活動をしているという太田せれなさんは言葉を詰まらせながらこう応じた。 「ちゃんとした最低限の生活を送れるっていうことは、人間として当たり前の権利だと思うので、それは絶対に侵害されてはならない人権だなというふうに思います」 ヴィクトリアさんは、この機会を前に、ウクライナ人の友人たちに代わりに伝えてほしいことあるかどうか尋ねたという。すると1ページも2ページも伝えたいことがあるなどと訴えられたそうだ。 「その時に分かりました。今、ウクライナの人は自分の気持ちを伝えたいかもしれません。色々なことがあって、もちろんウクライナ人の中では毎日話しているのだけれども、外国人に伝えるチャンスとなってすごく盛り上がった」