東芝社長、子会社WHの損失開示遅れを陳謝「深くおわび」
東芝は27日、子会社の米原発大手ウェステングハウス・エレクトリック(WH)に関する損失開示遅れ問題について会見した。室町正志社長は「適時適切な情報開示をすべきだったと反省している。開示不十分だったことをあらためて深くおわびしたい」と陳謝した。 【図表】東芝問題、なぜ「粉飾」と呼ばないの?全国紙5紙に聞いた
WH減損処理の開示遅れ
WH社が行った過去の損失処理が東京証券取引所の開示基準に該当していたが、東芝は公表せず、東証からの指摘を受け、17日にやっと詳細な金額を公表した。室町社長は「(東証の)指摘を真摯に受け止めるとともに、適時、適切な情報開示をすべきであったと反省している。再び信頼を得られるよう、私が先頭に立って積極的な開示に努めていきたい」と述べた。 開示が遅れたことについて、室町社長は「WHは上場していないので、開示は任意だと考えていた」と述べた。志賀重範副社長も「WH全体の公正価値が簿価を超えている結果を見て、連結の結果がOKであれば良しと思っていた。WHに深い関心を持ってもらっていたことを考慮すると配慮が足りなかった」と釈明した。 WHは原子力事業に関して2012年度に9億2600万ドル、2013年度は3億9400万ドルの計13億2000万ドルの減損処理を実施。これについて、室町社長は「残念ながら私はまったく認識していなかった」と話し、「意図的に減損したり、しなかったりしたということではないと理解している。適正に処理されている」との認識を示した。 9月以降の新体制以降の情報開示のあり方に疑問が投げかけられると、「従来に比べるとより詳細な開示しているつもりだった。投資家の皆様からさまざまな批判があるのも事実。重く受け止めている」と語り、今後はその姿勢を抜本的に変えていくとした。
原子力事業の先行きは?
会見では今後の原子力事業の先行きについても質問が相次いだ。 東芝は、WHが世界の400基以上の原発建設計画において、原子炉「AP1000」を64基受注することを目指すと発表した。AP1000は加圧水型原子炉(PWR)の改良型で、現在中国で4基、米国で4基を新規受注し、計8基を建設中だという。 志賀副社長は「ビジネスプランの前提は64基の受注。福島(原発事故)以降、プラント建設はスピードダウンしたのは事実だが、世界的に原子炉が建っていくという状態に変わってきている」と強調。WHのダニエル・ロデリック社長も「クリーンエア、きれいな空気の需要は世界で高まっている。これを達成するためには原子力なしに立ち行かないことは自明の理。世界で原子力の需要は高まっている」と語った。 「64基受注の目標は厳しいのでは」との問いに対して、志賀副社長は現在8基をつくっていることを引き合いに出し、「日本メーカーでは考えられない規模の仕事をしている。日本では原子力に否定的だが、海外に出ると原子力のニーズは高い」と述べた。