imase、初ホールツアー『Shiki-Sai』 緊張を超える楽しさで迎えられた公演初日をレポート
2024年は1stアルバム『凡才』のリリースとその後の全国ツアーやアジアツアー、さらに8月以降は「エトセトラ」「蜃気楼」「Dried Flower」「アウトライン」「プリズム」と、盟友なとりとのコラボ曲「メロドラマ」「メトロシティ」といった異なるジャンル感の配信シングルをなんと1カ月に2曲というハイペースでリリースしてきたimase。アジアの音楽シーンとも共鳴する新世代として存在感を示す彼が、初のホールツアー『imase Hall Tour 2024 “Shiki-Sai”』を全国3都市5公演で実施。ここでは初日のLINE CUBE SHIBUYAでの様子をレポートする。 【全ての写真】『imase Hall Tour 2024 “Shiki-Sai”』初日公演(全14枚) 会場に入ると、ステージに吊るされた複数のパネル状のものに目を惹かれる。この仕掛けがツアータイトルの『Shiki-Sai』の演出に大きな役割を果たすのだが、ライブのスタートは意外な面白さに一役買っていた。というのも、オープニングSEが流れステージが明るくなると、一段高くなった位置にいるimaseにスポットが当たるが、メンバーはパネルに隠れている。白いカバーオールとパンツ姿のimaseに大きな歓声と拍手が起こる中、タフな四つ打ちのビートに乗せてスムーズに歌い始めると、早くもカラフルなライトがパネルを照らす。 ホールの高い天井を活かした演出に目を奪われていると、2曲目に早くもヒットナンバー「NIGHT DANCER」が。イントロに悲鳴のような歓声が上がり、同時にパネルが上昇すると、お馴染みのサポートメンバーであるBOBO(ds)、モリシー(g / Awesome City Club)、松本ジュン(key)、林あぐり(b)が姿を現す。横一列に並んだ配置も演奏がはっきり見えて楽しい。シンセベースのうねりとグリーンのレーザーが好相性で、フロアのダンスを加速する。一転、ソリッドなギターリフが放たれると「『imase Hall Tour 2024 “Shiki-Sai”』へようこそ。楽しんで行こうぜ!」と本格的な夜の始まりを告げ、「LIT」になだれ込む。ステージを大きく使ったパフォーマンスを見せるimaseにフロアの熱量は早くもピークへ。 1階から3階まで見渡して「全部見えてますよ! ホールツアー、すごく楽しみにしてきたので、色とりどりの音楽を届けられたらなと思ってます」と、『Shiki-Sai』のメッセージも明かしながら、生音で展開するトロピカルハウス「蜃気楼」へ。難易度高めなトライバルなクラップも多くのオーディエンスがこなしていて、曲への理解度の高さを実感する。アーバンポップな「ミッドナイトガール」では、背景にサンドストームを思わせる映像も投影され、曲が表現する真夜中の孤独感とシンクロ。色彩の意味合いを拡張してみせた。かと思えば、「Rainy Driver」では背景のLEDが細かく分割され、鮮やかな色彩を放つという対比に、この2曲に登場の一人称である女性と男性の視点の違いを感じたりも。それにしても、音源での音数の少ないアレンジを生音に変換して、しっかりimaseのボーカルを聴かせるライブアレンジはさすが百戦錬磨のミュージシャン陣だ。続く「Nagisa」の四つ打ちのキックに大きな歓声が上がり、削ぎ落とした音像の上を繊細な裏声が愛らしく響く。スリリングな恋とユーモアの詰まったこの曲を淡いピンクのライトがさらに盛り上げ、フロアにハンドワイパーが自然に広がる様はまさに波のよう。白い衣装がさまざまな色に染まり、imase自身も色彩の一部になっていく。 男性ファンの野太い「いませー!」という声も聴こえ、男女問わず同世代からの人気を感じたところで、長めのMCでは最近24歳の誕生日を迎えたことを報告。そして、今回のライブのコンセプトを「音楽と色の持つ力をコンセプトにしたライブ」であることを説明。その一環で初めてアコースティックセッション・コーナーを展開した。モリシーのアコギと松本の鍵盤ハーモニカで届ける「逃避行」は歌が際立ち、彼の持ち味のひとつであるJ-POPのメロディが前面に出るアレンジに。「でもね、たまには」ではBOBOと林も参加し、全員座ってリラックスした様子で息を合わせていくのが新鮮。裏声と地声をシームレスに行き来するimaseのボーカルも、じっくり堪能できるライブならではのアプローチに加え、1階、2階、3階に分けてシンガロングを競わせたのも楽しい演出だった。