<プロ野球速報>巨人坂本イチロー級曲芸打ちに高橋監督は「考えられない」
巨人ー阪神戦が22日、東京ドームで行われ、巨人が4-1で阪神に快勝、阪神との対戦成績を2勝2敗のタイに戻した。勝負を決めたのは、3回の坂本勇人(28)の逆転タイムリー。あわやワンバウンドになるようなボール球のフォークを片手で打ち返すイチロー級の曲芸打ちだった。投げては田口麗斗(21)が7回を4安打1失点に抑え、対阪神に6勝0敗とキラーぶりを発揮。ゴロアウトが12個。低めへのコントロールが光った。マギー(34)にダメ押しの一発が出るなど巨人は、強いチームの勝ち方で伝統の一戦を制した。 イチロー級の曲芸打ちだった。 0-1で迎えた3回。田口は平凡な一塁ゴロだったが、原口のトスをカバーに入った能見がポロ。無死からラッキーな出塁の仕方をすると、中井が四球、立岡が一発でバントを決めて、一死二、三塁の逆転機をお膳立てした。打席には坂本。カウントは2-2になった。 「追い込まれていたので、バットに当てることだけ考えていました」 誘いのフォークだった。あわやワンバウンドになるようなボール球だったが、坂本は片手で、拾うというより、まるでテニスラケットを扱うようにヘッドを返さずに芯であわせセンターへ運んだ。能見はマウンドで憮然。これを打たれたらバッテリーも手の施しようがない。 イチローが、低めのボール球をヒットにする曲芸打ちを見せたことがあるが、まさにイチロー級の一打で2人が生還してゲームをひっくり返した。 秀逸のバットコントロール。加えて軸を残す意識があるので上半身が泳いでも肝心の下半身まで崩されない。土台がしっかりとしているから、ボールの大きな落差にも対応することが可能なのだ。 左腕の能見を迎えポイントゲッターの阿部を思い切ってスタメンから外して休養させた。戦力ダウンが不安視された一戦で、チームリーダーが勝負強さを見せた。そして二盗を決めた。結果的に追加点につながらなかったが、今季の坂本は、走塁への意識も見違えるように高い。 WBCの“後遺症”で、侍ジャパンのレギュラークラスが、ことごとく不振で悩む中、坂本だけはレギュラーシーズンで調子を維持している。昨年から、前後の体重移動を少なくして、ぶれない打撃フォームに取り組み、首位打者を獲得したが、打撃フォームが安定しているため、海外の動くボールへ対応をしても、そこまで大きく崩れなかったためだ。 高橋監督も、試合後、「勇人(坂本)にしかできない(ヒット)。僕は(現役時代に)高めが好きだったので、僕には考えられないヒットだった」と坂本の曲芸打ちを称えた。