“ポスト長友”として湘南ベルマーレの19歳・杉岡大暉への期待
もちろん、視線は杉岡を追いかけ続ける。ただ、成長に不要な情報を与えることで、進むべき道と異なる方向に捻じ曲がることを恐れた。将来を見越した曹監督の大きな指導方針のなかで、試行錯誤しながらも成長を重ねてきた杉岡は、東京五輪へと連なるU-21代表に継続的に名前を連ねている。 「一度ミスをしてもいい意味で何も感じることなく、次のプレーに移ることを常に意識している」 ポジティブな思考回路をこう説明してくれた杉岡は、過去のどのワールドカップよりも今回のロシア大会を見たという。視線の多くは、おのずと長友の一挙手一投足へと注がれた。 「やっぱり意識しました。1対1も強いし、守備のポジショニングもいいし、乾選手や大迫選手を絡めた3人で崩している場面などは普通にすごいなと思いました」 ロシア大会開催に伴う約2ヵ月間の中断からJ1が再開された18日は、ホームにサガン鳥栖を迎えた第16節で3バックの左ストッパーとして先発。後半開始からは左ウイングバックに移り、23分にはペナルティーエリア内に侵入して左足から強烈なシュートも放った。 「ワールドカップは夢の舞台だし、立ちたい思いもありますけど、まずはチームでもっと結果を残さないと。東京五輪もあるし、目の前のことをひとつずつやっていくだけだと思っています」 ロシア大会を制したフランス代表でまばゆい輝きを放った超新星、同じ1998年生まれのFWキリアン・エムバペからも刺激を受けた。東京を経由して4年後のカタールへ。圧倒的な走力に攻守両面でアグレッシブさを融合させる「湘南スタイル」を担いながら、杉岡は決して遠くはない未来に「ポスト長友」として名乗りをあげるための力を蓄えていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)