【柏】J1残留を果たした大谷秀和コーチが振り返る、憧れの明神がいるG大阪と戦った2012年度の天皇杯決勝【前編】
左腕の負傷で栗澤と交代
後半に入ると、大谷と明神の攻防にも激しさが増した。62分、レイソル陣内中央にぽっかりと空いたスペースを見つけた明神は、左サイドバックの藤春廣輝にボールを要求しながらスペースへ走り込んだ。危険を察知した大谷も、ほぼ同時にそのスペースを消しにかかり、五分五分のボールに対する競り合いの中で、大谷と明神が激しく接触した。バランスを崩した大谷は地面に左腕を強打し、その場でうずくまった。 直後の63分にも、丹羽大輝から縦パスを引き出した明神にアプローチしたのは大谷だった。しかし左腕の激痛が影響したのか、寄せた瞬間に明神に前を向かれた。大谷は右手で明神を掴み、ファウルで前進を食い止めた。このプレーに吉田寿光主審からイエローカードが提示された。 左腕の負傷でプレーが困難となった大谷は、67分に栗澤僚一との交代でピッチを退いた。あとは信頼する仲間たちに託し、ベンチから戦況を見守った。大谷が退いてからもレイソルは老獪に試合を進め、前半に奪った1点のリードを守りきった。したたかな試合運びができた要因に、大谷は前年のJ1優勝をはじめ、クラブワールドカップやACLで培ったチームの経験値を挙げた。 【後編へ続く】
サッカーマガジンWeb編集部