山田孝之は、なぜ『ウシジマくん』にサヨナラしようと決めたのか?
原作のキャラクターに寄せることは絶対ではない!
昨今、人気漫画やアニメの実写化が続き、そのたびに、原作のキャラクターに似ているかどうかという議論が巻き起こる。山田自身は 「作品にもよると思いますが、もちろん寄せたほうが見やすいということはあると思います。でもそれが絶対だとは思っていません。大事なのは中身」ときっぱり。山田演じるウシジマは、原作と非常に似たビジュアルというイメージがあるが、そこも特別意識したわけではないという。 「山口(雅俊)監督はそこまで重視してなかったのですが、僕が絶対必要だと思ったのはメガネだけだったんです。原作を読んだときに、あのデッカイメガネが外の世界とウシジマを区切るフィルターだと感じたんです。だからメガネだけは必要だと思って。でもメガネを作ってかけたら変な人になっちゃったんです。そのときは髪も長かったので、髪を切ったんですね。でも成立しなくて、今度は髭を生やして、ピアスをいっぱいつけたらだんだん成立してきたんです。原作のキャラに寄せるというよりは、メガネにあわせていったら、自然と寄っていったという感じですね」
欲は生きる原動力!
本シリーズに登場するキャラクターたちは、大きな欲に抗えずシビアな方向に進んでいってしまう。そんな債務者たちに対して、「もう少し考えればいいのに」と思う一方で「欲というのは生きる原動力になりますからね」と理解を示す。そして「今回、ここでシリーズをファイナルにしたのも、欲があるからだと思います」と語る。真意を問うと「『闇金ウシジマくん』以上にもっと多くの人が求めてくれたり、インパクトのある作品を作りたいという欲ですよね。だって人気シリーズになったからなるべく続けていこう……なんて考えは、つまらないですよね」と胸の内を明かしてくれた。 さらに「具体的には言えませんが、何かを訴えかけたい、伝えたいという欲はあります。自分が携わった作品を観た人が、考え方を変えたり、人生の分岐点になったり……。そういう作品を作れたらなという思いは常にあります。この作品で言えば、お金や人間関係についてしっかり考えるきっかけになってくれればいいなという思いで続けてきたんです」と俳優としての欲を語ってくれた。 「作ったからには1人でも多くの人に見てもらいたいし、気持ちを動かせたらなって思っています。最後なので見届けて欲しい」 静かな口調ながらも、非常に熱い思いを感じる一言で締めくくってくれた。 (取材・文・写真:磯部正和)
■■山田孝之(やまだ・たかゆき)■■ 1983年10月20日生まれ。鹿児島県出身。1999年に役者デビューを飾ると、2003年放送の『WATER BOYS』でドラマ初主演、2005年公開の『電車男』で映画初主演を果たす。その後も映画、ドラマにて強い存在感を発揮する俳優として様々な話題作に出演している。テレビドラマ「勇者ヨシヒコと導かれし七人」(テレビ東京系)が放送中。