「全摘しても大丈夫と伝えたい」小倉智昭さんが大病経験で得た報じることへの責任感…記者が悼む
昨年8月、病を克服して頑張る著名人を扱うコーナーで小倉智昭さんにインタビューした。帯番組から離れ「おいおい。俺はまだ克服してないよ~」「(薬の副作用で)ムーンフェースなんだから」と終始冗談めかしながらも、答える姿勢は真剣だった。 自身の病歴や健康状態をメモにして持って来ており、事細かに日付まで書かれていた。だが驚いたのは約1時間の取材中、そのメモを一度も見なかったこと。ずっとこちらの目を見ながら話し続け、まるでテレビを見ているようだった。 関係者によると「とくダネ!」でもそうだったという。毎日、綿密なメモを作りながらも放送が始まると一切見ない。数字も含めて全て頭に入れていたのだ。 思い返すと、大病を経験した小倉さんが持っていたのは報じることへの責任感。インタビューを受けてくれたのも膀胱全摘に踏み切れずに病状が悪化したことで「同じ状況の人を作りたくない。『全摘しても大丈夫』と伝えたい」という使命感だった。 「原因が分からないんだよ」と足取りは重かったものの、「週1回くらいお仕事をいただければいいな」と意欲を見せていた。本気で復帰を考えていたのかもしれない。体は本調子ではないながらも、気だけは張り続けていた。格好いい姿だった。(浦本 将樹)
報知新聞社