狭くなっていく「全英への道」…4枚の切符が消失、R&Aの決定に抱く懸念(羽川豊)
【羽川豊の視点 Weekly Watch】 木下稜介が3年ぶりに通算3勝目をあげた「~全英への道~ミズノオープン」。全英オープンの国内選考会としてファンにもお馴染みの大会ですが、今年は大きな動きがありました。昨年までこの大会の上位4人に与えられていた出場枠が、今年は3人に減り、「昨年の賞金ランキング上位2人」や、「今季開幕戦から第7戦までの賞金ランキングトップ」の資格が消滅。つまり、4枚の切符がなくなってしまったのです。 【写真】松山英樹ZOZO2日目大乱調…イライラ絶頂で取材拒否、直行した練習場でもクラブ叩きつける その理由について全英を主催するR&Aの担当者は「より世界的なレベルにするため、(日本で減らした)枠は他の場所に移しました」と説明。「毎年、出場資格は変更している。来年はまた変わるかもしれない」と言いました。実際、昨年創設された、日本・アジア・豪州・南アフリカの各ツアーの賞金ランキング「インターナショナル・フェデレーション・ランキング」の上位5人には出場権が与えられます。 今季の男子国内ツアーの24試合は史上最少。来年もさらにいくつかの試合が減るかもしれません。選手は一生懸命プレーしているし、若い選手の成長も著しい。ですが、費用対効果が低いと判断すれば企業はツアーから撤退するし、参入もしません。 逆に、「二刀流」のメジャーリーガー大谷翔平が移籍して注目されているドジャースには、国内企業が殺到し、この春から多くが複数年のスポンサー契約を結びました。 国内のトーナメント事業を統括するJGTO(日本ゴルフツアー機構)は、海外ツアーと情報交換し、ツアー規模を拡大したり、海外企業が投資したいと思えるプランを選手と一緒に考えて欲しい。 ただし、国内ツアーが魅力的になれば資金と一緒に海外選手もやってくる。国内選手の出場枠が減ってしまうという新たな問題も生まれますが、米ツアーで活躍する松山英樹は別格にしても、川村昌弘、谷原秀人、星野陸也、金谷拓実、久常涼(今季から米ツアーへ移籍)、中島啓太ら、すでに多くの選手がアジアンツアーやDPワールドツアーに参戦しています。自らレベルの高いツアーで世界ランキングを上げていかなければ、メジャーの舞台に立つことはできません。 今の流れでいけば、国内で行われている全英や全米オープンの予選会もいつまで継続されるかわからない。今年の全英(ロイヤルトルーン)には、昨年の日本オープンを制した岩崎亜久竜も出場しますが、「前年の日本オープン覇者」も全英出場資格から消されてしまわないか。今回のR&Aの決定からそんな懸念を抱いているのは私だけではないでしょう。 (羽川豊/プロゴルファー) ◇ ◇ ◇ 国内男子ツアーの人気低迷ぶりは悲惨の一言に尽きる。日程は虫食い状態で録画放送がはびこり、コースは低レベル。そんな事態を招いた「元凶」について、●関連記事【もっと読む】…で詳しく報じている。