福島県の富岡高出身のワタガシ 13年のペアに幕 ジャパン・オープン準々決勝で敗退
バドミントン混合ダブルスの歴史を切り開いてきた2人の物語が幕を閉じた。23日に横浜市の横浜アリーナで行われたジャパン・オープン第4日で、今大会限りのペア解消を表明していた渡辺勇大(27)・東野有紗(28)組(BIPROGY、福島県の富岡高出身)は準々決勝で敗退した。東京、パリ五輪で2大会連続のメダル獲得など、数々の「日本人初」を打ち立ててきたワタガシペア。ラストゲームを終えて互いに感謝を伝えるとともに、競技者として新たな一歩を踏み出す決意を示した。 試合後、2人は互いをねぎらうかのように握手を交わした。渡辺は「つらいことも多かったが、ここまで2人で支え合いながら喜びを味わえた」、東野は「13年間組んでいるペアは他にはない。ここまでやってこられたのは勇大君のおかげ」と感謝の言葉を掛け合った。 2人は富岡一中在学中、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で富岡町から避難し、猪苗代町に拠点を移した。ペア結成は2012(平成24)年春のインドネシア遠征。社会人から混合ダブルスを始める選手が多い中で、中学からコンビを組み、経験値の高さは突出していた。2018年に世界で最も伝統のある大会・全英オープンを制すと、翌年の世界選手権で銅メダルを獲得。2022年には同種目で世界ランキング1位となった。いずれも日本人初の快挙だった。
2021年の東京五輪で銅メダル獲得後、パリ五輪を集大成の舞台とすることを決めていた。目標の金には届かなかったが、2大会連続の銅メダル。ペアとして最後の今大会で2連覇を狙ったが、台湾ペアに屈し準々決勝で涙をのんだ。 東野は「中学、高校の時から2人で五輪に出たいという夢を抱いてきた。2回も実現できた上、多くの大会でメダルを取って歴史をつくってこられた」と回想した。2人はそれぞれ新たなペアを組み、別々の道を歩む。「お互いに頑張っている姿を見て、切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と渡辺。13年間で培った技術と誇りを胸に、活躍を続けると誓い合った。