「全盲の画家」16歳で難病を発症 〝視力ゼロ〟から始めた創作、SNSで発信
Instagramからつながった世界
作品を作り始めた当初はどこにも発表せずにいましたが、長男のサポートもありInstagram投稿を始めました。 長男が作品の画像をアップし、投稿に寄せられたコメントもコピーしてタムタムさんに送ってくれていたといいます。コメントへの返信も長男経由で投稿していました。 しかし、多忙な長男に任せることに申し訳なさを感じ、開設から約1年後にはタムタムさん自身がパソコンでInstagramを開き、コメントに返信するようになったそうです。 「リアルだけが人とのつながりではないことに気づきました」とタムタムさん。 面識のないフォロワーがほとんどですが、「頻繁にコメントをくださる方もいて親しみが持てます。文章を通して人柄が伝わってくるんです」と話します。
家族に支えられ「絵は生活の一部」に
創作活動を始めて5年。視力ゼロから表現活動に取り組みましたが、いまでは「絵は生活の一部になった」とタムタムさんは言います。 「毎日のように絵のことを考えたり、調べたり、作ったり、刺激になります。頭を使うようになったので将来の不安などネガティブなことを考える時間も少なくなりました。続けていくことが大事ですね」 企業主催のアートコンテストなどで最優秀賞を受賞するなど、評価される機会も増えました。以前と比べて外出する機会も多くなり、興味の幅も広がったそうです。 背中を押してくれた長男については、「敏腕マネージャーのような存在」と表現します。 「ちょっと迷ったときも冷静な目でアドバイスをくれる。そういう見方もあるのかとハッとさせられますし、いろんな面で助けられていますね」 長男はタムタムさんについて、「もともと絵の才能があったわけではなく、努力して努力して失敗作だらけ。やっとうまくできたものをSNSやコンテストに応募しています」と話します。 「才能があるわけではないからこそ、幅広い人の心に寄り添える絵になっているのではないでしょうか」 タムタムさんは今後について、「1冊でも2冊でも絵本を作れたらと思います。少しずつお仕事をいただけるようになってきたので、そのお金で家族を海外旅行に連れていってあげられたらいいな」と話しています。