立憲民主党ほど、日本に不要な政党はない…日本維新の会代表が長年の議員生活で感じた「野党の盟主」の限界
■ほんま、立憲ってセンスないな いっぽう、立憲は、連合など一部の組織や団体に支えられている政党である。失敗した民主党政権時の閣僚たちがいまだに中枢を占めていること、「政府の揚げ足取りだけで対案を出さない政党」との認識が有権者に定着したことから支持率は3%前後で低迷。ところが当人たちは、のほほんとしていても野党第1党でいられるという怠慢な意識で、好き勝手を繰り返している。 馬場幹事長は、国会での長年の活動を通してつくづく思った。 〈立憲民主党ほど、日本に不要な政党はない〉 立憲民主党がいくら自民党を攻めても、有権者は言いがかりや脅しのようなやり方にすっかり嫌気が差している。安倍総理が退陣後もモリカケ、サクラ(「桜を見る会」をめぐる問題)を繰り返した。国民がまったく興味のない日本学術会議の任命問題などをダラダラと繰り返している。つまり与党を攻めるネタもなく、自分たちのことを棚に上げた攻撃は「ブーメラン」と揶揄されるようになった。 馬場は思った。 〈ほんま、立憲ってセンスないな〉 自民党の支持率が下がるのは、金銭問題など、国民も身近に感じられる悪い話が出たときである。立憲があのやり方を変えない限り、一定数以上の支持が集まることはない。それでも組織が味方についている政党が、選挙に強いのは確かだった。 ■「55年体制のような茶番劇の国会」ではダメ 2021年秋までにおこなわれる衆院選で立憲をつぶせればよいが、維新の票が眠っている無党派層や無関心層にアピールするのは容易なことではなかった。もともと小選挙区制導入の大義は、日本を二大政党にすることだった。が、その結果は、野党がバラバラに割れて弱い政党が乱立し、国民からノーを突きつけられた候補者が比例復活する悪い面ばかりが浮き彫りとなった。 日本維新の会もまた弱い政党の一つであるが、少なくとも「自民党と対峙できる政党をつくることが日本国民のためになる」という志がある。馬場は思った。 〈55年体制のような茶番劇の国会を繰り返すのではなく、政府与党側のA案と、野党が出すB案を議論して戦い合わすような体制にすべきだ〉 国会改革をし、政策案をぶつけ合ってよりよい政策を実現する。議論のなかで新たなC案が誕生する可能性もある。何事も是々非々で、本当によい政策であれば野党も一緒に協力して練り上げる。そのような体制にならなければ、日本維新の会が掲げる大改革は実現しない。 ---------- 大下 英治(おおした・えいじ) 作家 1944年、広島県に生まれる。広島大学文学部を卒業。『週刊文春』記者をへて、作家として政財官界から芸能、犯罪まで幅広いジャンルで旺盛な創作活動をつづけている。著書に『安倍官邸「権力」の正体』(角川新書)、『孫正義に学ぶ知恵 チーム全体で勝利する「リーダー」という生き方』(東洋出版)、『落ちこぼれでも成功できる ニトリの経営戦記』(徳間書店)、『田中角栄 最後の激闘 下剋上の掟』『日本を揺るがした三巨頭 黒幕・政商・宰相』『政権奪取秘史 二階幹事長・菅総理と田中角栄』『スルガ銀行 かぼちゃの馬車事件 四四〇億円の借金帳消しを勝ち取った男たち』『安藤昇 俠気と弾丸の全生涯』『西武王国の興亡 堤義明 最後の告白』『最後の無頼派作家 梶山季之』『ハマの帝王 横浜をつくった男 藤木幸夫』『任俠映画伝説 高倉健と鶴田浩二』上・下巻(以上、さくら舎)、『逆襲弁護士 河合弘之』『最後の怪物 渡邉恒雄』『高倉健の背中 監督・降旗康男に遺した男の立ち姿』『映画女優 吉永小百合』『ショーケン 天才と狂気』『百円の男 ダイソー矢野博丈』(以上、祥伝社文庫)などがある。 ----------
作家 大下 英治