ニュースでよく見る「米雇用統計」とは?
雇用統計は、アメリカの景気の動向をみる重要な経済指標の一つで、日本でもよくニュースで取り上げられます。毎月の第一金曜日に発表されることになっています。 雇用統計の内容は、アメリカの労働省が発表する失業率、非農業部門雇用者数など10項目以上の調査結果です。特に「失業率」と「非農業部門雇用者数」が重要とされています。 「失業率」はなじみのある言葉ですね。「非農業部門雇用者数」は言ってみればサラリーマンとして賃金が支払われている人たちの人数。いずれも国内消費の動向に影響してくるので、マーケットはこれに強く反応します。
日本のFX投資家も注目
米雇用統計は確かに重要な指標なのですが、一般的なサラリーマンにとってこの指標は、関係がないと言えば関係がありません。これを特に注視しているのは、為替や株のマーケットの関係者です。個人でも外国為替、とりわけFX(外国為替証拠金取引)に投資している人たちにとっては、気がかりで仕方のない統計指標です。 なぜなら、発表された瞬間、為替相場が一気に大きく動くからです。 発表される時間は、ニューヨーク時間の午前8時30分(日本時間は午後10時30分、サマータイム期間中は午後9時30分)。固唾を飲んで見守っていると、米ドルが1円くらい上下することはザラです。1円と言っても、FXの取引では大金です。 個人向けのFXを例にとってみましょう。株は100株、1000株といった単位で売買しますが、通常、個人向けのFXは「10000通貨」という単位で取引します。通貨単位というと難しい響きがありますが、要は1万倍。1米ドルを90円で買った場合、手持ちの米ドルは円換算にして90万円です。「ふつう90万円分も買えないよ」と思われるでしょうが、数万円で90万円の外貨が買えてしまうのが、良くも悪くもFXという金融商品です。 いずれにせよ、上記の場合だと米ドルが1円動くと手持ちの1万円分が変動することになります。10000通貨単位を10持っているとすると、10万円の儲けあるいは損が一瞬で発生します。「FXなんてマネーゲームだ」と揶揄されることがありますが、それになぞらえると雇用統計は、さしずめ「ボーナス・ステージ」といったところでしょうか? 実際、雇用統計の発表を「祭り」と呼ぶ人たちも多いのです。 雇用統計の結果がマーケットの予想と同じなら、大きく変動はしませんが、予想と違うと為替は大きく上がったり、下がったりするのです。もっとも、アメリカの金融政策にも影響を与える統計だという中長期の観点からみると、一喜一憂する指標ではないのかもしれません。