広島地裁

　広島県廿日市市のホテルで2021年、知人男性にアルコールを摂取させて殺害したなどとして、殺人と詐欺の罪に問われた広島市西区、職業訓練生の男（33）の裁判員裁判の判決が2日、広島地裁であり、石井寛裁判長は求刑通り懲役30年を言い渡した。 　公判で検察側は、被告が自身に5億5千万円の死亡保険金をかけ、男性を自分の「替え玉」として殺害しようとしたとし「保険金目的で殺意を有していたのは明らかで計画性も高い」と指摘。弁護側は被告が金銭的に困っていた事情はないとし「常識的に、替え玉保険金殺人はおよそ不可能」と主張していた。 　判決などによると、被告は21年11月21日から22日にかけ、愛知県清須市の大学生男性=当時（21）=に睡眠導入剤を混入した飲食物を摂取させてホテルに連行。男性にアルコールを注入するなどして意識障害を生じさせ、嘔吐（おうと）物による窒息で殺害した。また、同月9日に弟の健康保険証を使い、広島市内の薬局から睡眠導入剤など150錠を詐取した。