メルカリ返品詐欺騒動、「出品者は確実にだませるカモ」なのか?購入者保護の仕組みを悪用する手口と対策
■ 「なんでもOK」で成長してきた 高橋:メルカリというプラットフォームは「ユーザー間の合意があれば、(禁止されたものを除いて)何でも売り買いしてOK」というモデルがウケ、成長してきました。高額な転売品や使用済みの化粧品、野菜をはじめとする生鮮食品の販売なども見られます。 もちろん、法律上問題のある商品だけではなく、たびたび問題視される「宿題代行」など倫理的に問題のある商品についても、メルカリは出品禁止を明確にしていますが、それでも出品される商品は実に多様です。 「何でも売り買いしてOKだからユーザーの支持を受けてきた」メルカリが詐欺的な事例が増えてきたからと、ユーザーに対する規制を厳しくしすぎると、ビジネスとしての優位性も損なわれかねません。 ──使用済みの化粧品も出品されているのですね。そもそも、メルカリで熱心に売り買いをする人たちは、どんな特徴があるのですか。商品画像をメルカリにアップして、買い手とやり取りして、商品を発送するという一連のやり取りは、非常に手間な印象があるのですが。
■ 「自由」と「自己責任」のバランスは? 高橋:言葉を選ばずにいうと「儲けは多くなくても時間と手間を惜しまない人たち」がヘビーユーザーである、という側面はあると思います。 中でも、返品詐欺を働くような人たちは常習性があり、わずかな利益を確保するために躍起になっています。たとえば、「開封済みのブランド化粧品」と謳って、化粧品の中身を安いものにすり替えて販売する人もいます。儲けの額は、せいぜい数百円、いっても2000~3000円程度ではないでしょうか。 また、売る方も買う方も、メルカリにおいては可処分時間が長い人の方がハマりやすい面があります。日常の不用品などはお金にならないことも多いのですが、儲けが少なくてもそれを大事にできる人たちということですね。出品して獲得した「メルカリポイント」を、メルカリ内で商品を買うことで消費する「メルカリ経済圏」に取り込まれている若者も多いです。 使用済み化粧品がよく売れるのも「先の方をピッと削ってしまえば、問題なく使える」と考える人が多いからです。 メルカリはユーザーに「自由」を与える代わりに基本的には「自己責任」を前提とすることで急拡大しました。ここにきて、そのひずみが大きくなっています。抜本的な改革は難しいのでしょうが、返品不可記載ルールの見直しを含め、何らかの対応を余儀なくされるでしょう。