【第2次石破内閣】熟議の国会へ転換を(11月12日)
第2次石破茂内閣は、少数与党の試練を抱えながら発足した。与野党勢力を反転させた衆院選の結果は、自民党一強政治の転換を求める民意に他ならない。政治は国民の信を取り戻し、熟議の国会に立ち戻れるかどうかの岐路にある。石破首相は、野党との議論重視の国会運営にかじを切る必要がある。勢力を増した野党は真価が問われる。 自民、国民民主両党の政策協議には懸念も湧く。国民の「対決より解決」は、国会審議を停滞させず、必要な政策を具現化する上で望ましい。とはいえ、特定の野党を政権維持の数合わせで取り込み、熟慮のないまま税制や重要政策を結果的に連立、部分連合の枠組みで通すのなら、数にものを言わせた旧来の政治手法と違いはない。過半数割れした現実をしっかりと省み、最大野党の立憲民主党をはじめ、各党の多様な意見を真摯[しんし]に聞く姿勢を重視すべきだ。 衆院の委員長人事は新生国会の鍵を握る。議院運営委員長は引き続き自民が担う一方、予算委員長を立民が手にする意味は大きい。
与党単独過半数の政権下、委員長職権で審議が打ち切られ、採決が強行された例は少なくない。立民は政府予算をはじめ、国政全般に及ぶ審議の主導権を握り、裏金問題や政治改革などで攻勢を強める構えという。ただ、来夏の参院選をにらみ、再び政権批判に終始すれば、逆に信は遠のきかねまい。議席を底上げさせた国民の負託の重みを肝に銘じ、物価高、災害復旧などの予算審議は滞りなく進めるべきだ。 法務委員長も立民が見込まれ、選択的夫婦別姓の導入議論が進む可能性が指摘されている。政治改革特別委員長も務め、政治資金規正法の再改正に弾みがつくとみられている。いずれも、野党が過半数を占めてこその動きと言える。野党も責任を持って審議に臨むよう求めたい。 衆院副議長に本県2区選出の玄葉光一郎氏が就任した。国民注視の国会は正念場にある。豊富な議会政治の経験を生かし、中立、公正を胸に手腕を発揮してほしい。 本県関係の議員が特別国会に合わせて初登院した。震災復興をはじめ、少子化、人口減など恒常化した地方の課題解決への活力ある取り組みに期待したい。(五十嵐稔)