小学生が飛ばした風船が縁に 受け取った20キロ先の企業が出張授業
東京都西東京市の小学校から児童らが飛ばした風船が、20キロ近く離れた川崎市の企業と縁を結んだ。 【写真】風船を飛ばした佐藤美音さん(右)が伸和コントロールズの山本拓司社長に絵を贈った=2024年12月18日、東京都西東京市立谷戸小学校、稲石俊章撮影 今年6月7日、西東京市立谷戸小学校(児童数369人)は開校70周年を記念して、児童が自らの「夢」などを書いた手紙をつけた風船につけ、校庭から飛ばした。飛ばした風船は児童や教職員らを合わせて約400個。自然に分解される素材で、手紙の裏には学校の住所とメールアドレスを記していた。 その2日後。川崎市麻生区で精密温調装置などを手がける「伸和コントロールズ」の駐車場に風船が落ちているのを、山本拓司社長が見つけた。 「しょうらいのゆめはマンガ家です! そのために、絵やマンガをいっぱいかくことをがんばります!」 風船についた手紙にはこう書かれていた。 同社の担当者が学校に連絡し、子どもたちとの交流を提案すると、この風船を飛ばした児童のいる5年生を対象に出張授業をすることになったという。 18日にあった出張授業では、山本社長が5年生約40人を前に、風船を見つけたときの状況を説明し、「素晴らしい出会いだと思いました。私たちは一期一会という言葉を大切にしています」と語った。同社は半導体の製造工程で欠かせない温調装置を開発していて、コンピューターやスマホなどで半導体が使われていることも説明した。 風船を飛ばした佐藤美音(みおん)さん(11)は、自分の風船がきっかけで出張授業が開かれたことに「最初はこんなに大ごとになるのかとびっくりした。でも、うれしかった」。 授業のお礼として描いてきた車の絵を山本社長に手渡し、2人で記念撮影をした。 同校によると、飛ばした風船約400個のうち、拾った人から連絡があったのは約50個。今回のようなイベントにつながったのは初めてという。(稲石俊章)
朝日新聞社