令和の時代にもまだ「手積み手降ろし」がけっこうあるってマジか! トラックドライバーの労働環境を変えないとガチに物流詰むぞ!!
ドライバーにとってのメリットはほとんどない
物流の2024年問題で、より人手不足に悩まされている現在のトラック業界。運賃が安く、かつドライバーの労働時間が厳しく制限されるようになったことで、悲鳴をあげている運送会社は数知れず存在していることだろう。 【写真】床からチェーンがぶら下がってる!? トラックに装備されているちょっと変わった装置の役割 しかし、まったく進歩していないというわけでもない。近年では物流の効率化が考えられるようになり、一度にたくさんの荷物を運ぶことができるダブル連結トラックが増えてきた。そして、荷物を直に触らないような、パレット輸送が定着してきたからだ。手積み手降ろしをしなくてもよくなったことにより、肉体労働を得意としない女性ドライバーが活躍できる環境になってきたというところが、トラック業界における唯一の明るい材料だといえるのかもしれない。 手積み手降ろしというのは、文字どおりトラックドライバーが自らの手で荷物を積み降ろしするというもの。大型トラックの場合は、それぞれ2時間ほどの時間を要してしまうことになる。荷物の種類や現場によってまちまちであるが、比較的スムースに進行したとしても、それぐらいの時間はかかってしまうだろう。 しかし、パレット輸送であれば半分どころか4分の1、つまり30分ほどで作業が終了することもある。それに肉体的疲労も大きく軽減されるため、パレット輸送はトラックドライバーにとってありがたい存在であるのだ。 しかし、冷凍食品や鮮魚、青果などを扱う現場などでは、いまだに手積み手降ろしという形態をとっているところも多い。保管上の理由から、自社の専用パレットでしか荷物を受けないなど、その理由の大半はもちろん荷主や荷受け側の都合によるもの。当たり前のことであるが、トラックドライバーは手積み手降ろしなど微塵も望んでいないのが実情だ。 鮮魚や青果などは、積み込みの際にパレットに荷物を自分の手で配置して積み上げていき、荷おろしの際はフォークリフトでパレットごと受け取ってもらうというのが一般的な流れ。そのため、手積みではあるがパレットおろしということになるため、比較的スムースな輸送が可能となっている。 もちろん、トラックドライバーにとって手積み手降ろしによるメリットなどほとんどないといっていい。あえてよい部分をあげるとしたら、荷崩れを起こしにくいというところだろうか。パレット輸送であれば荷物どうしが密着せず、隙間が生じてしまうことがある。そのような場合はコンパネや専用の当て物などを活用して荷崩れを防ぐのだが、手積みの場合は隙間なく荷物を積み上げてゆくことになるため、荷崩れを気にする必要がなくなる。そのため、運転は比較的楽になるのだ。 あとは、荷室内を目一杯活用することができるというメリットも存在する。スナック菓子などのケースが大きく軽量な荷物であれば、パレットの厚みで積める荷物の量が変わってくるからだ。そのため、現場によってはいまだに手積み手降ろしが好まれているのである。 とはいえ、肉体的負担を減らすことはトラック業界の活性化にもつながる。高齢化が進み、若いなり手が少なくなっている以上、恵まれた環境を構築することが必要であるのは明確だ。しかし、なぜかトラック業界は国から軽視されてしまいがちである。国民の暮らしや食を支えるという重要な役目を果たしているにもかかわらず、どうにも対応が後手になってしまっている感が否めない。 日本の経済そのもを支えるトラックドライバーの労働環境が、よりよくなってゆくことを願いたい。
トラック魂編集部