金色に輝く純銅製 奈良市・平城宮跡で錺金具取り付け 古代技法を用い製作24枚
奈良市の平城宮跡で国土交通省近畿地方整備局が進める第一次大極殿院東楼復元工事で7日、奈良文化財研究所(奈文研)の監修で復元された純銅製の錺金具(かざりかなぐ)の取り付けが行われた。古代技法を用いて製作された金具の取り付けは平城宮内の建物では初となる。 [写真]東楼に取り付けられた錺金具=7日、奈良市の平城宮跡
錺金具は、垂木、隅木、尾垂木等の木口面に取り付けられる装飾性のある金具。今回はより再現性を高めるため、平城宮と同年代と考えられる大官大寺出土品の木口金具と同じ純銅製金具を24枚製作。現代技法の電気メッキではなく、水銀と金を混ぜる古代のメッキ技法「アマルガム鍍金(ときん)」を用いた。アマルガム鍍金の技法も古代にはない硝酸水銀を使用せず梅酢を用いた技法を実現したという。 復元研究に携わった李暉・奈良女子大学特任講師は「純銅は流れにくく鋳造は失敗の連続だった」と苦労を語った。 この日は、作業員が埋木した木口状態を確認し、四角飛檐(ひえん)垂木と丸地垂木各12カ所へ釘を打って金色に輝く木口金具を取り付けた。その他の箇所には現代技法で製造された金具が取り付けられた。 奈文研の西田紀子上席研究員は「今後も観察を続けて劣化の要因などを研究し、文化財の保存や活用につなげたい」と話した。 東楼復元工事現場では、3月20日午後1時半から最終の現場見学会を行う。伝統技能を継ぐ職人による座談会もある。参加費無料、定員50人(応募多数の場合は抽選)。申し込みは近畿地方整備局京都営繕事務所HP申し込みフォームへ。